EVENT | 2023/12/08

100年前の人類は「最新テクノロジー」をいかに賛美し反発したか。展覧会『モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン』が12月16日から開催

文:FINDERS編集部

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急速な技術発展が訪れた「機械時代」のデザイン、アートから考える

1920〜1930年代のパリを中心に、ヨーロッパやアメリカ、日本における機械と人間との関係をめぐる様相を紹介する展覧会『モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン』が2023年12月16日から2024年5月19日まで神奈川県・ポーラ美術館で開催される。

1920年代は第一次世界大戦からの復興により欧米諸国で工業化が進み、自動車や航空機などの機械の登場によって「機械時代(マシン・エイジ)」を迎えた。特に「パリ現代産業装飾芸術国際博覧会(アール・デコ博)」が人々の価値観変容の分岐点となり、工業生産品と調和する幾何学的な「アール・デコ」様式が流行。日本でも関東大震災以降、東京を中心に急速に「モダン」な都市へと再構築が進むなど、世界は戦間期における繁栄と閉塞を経験し、機械や合理性をめぐる人々の価値観が変化していった。

本展覧会は、当時のデザイナーやアーティストたちがどのように機械への賛美あるいは反発をしていたか知ることを通じて、AI(人工知能)が人類の知能を超える「シンギュラリティ」(技術的特異点)が到来しようとする現代と重ね合わせて考えられる内容となっている。

展示は、5つに分かれて構成されている。

第1章の「機械と人間:近代性のユートピア」では、機械の進化によって理想的な時代を迎えると期待していた当時の芸術家やデザイナーによる、機械をモチーフにした作品が展示される。

第2章の「装う機械:アール・デコと博覧会の夢」では、アール・デコ博が開催された時代に活躍した作家たちの、機械や工業製品の美を称揚し、未来を感じさせるような作品が並ぶ。ガラス工芸作家のルネ・ラリックが手がけた自動車を飾るカーマスコットや、幾何学的な建築空間に合わせた室内装飾、香水瓶などのデザインなどが紹介される。

第3章の「役に立たない機械:ダダとシュルレアリスム」では、機械の発達によって生まれた近代化に抵抗し、その価値観が反映された芸術運動である「ダダ」「シュルレアリスム」関連の作品が紹介される。

第4章の「モダン都市東京:アール・デコと機械美の受容と展開」では、日本におけるモダンデザインに焦点を当てる。モダンデザインのパイオニアである杉浦非水が、アール・デコ様式を昇華させて手がけたデザインや、古賀春江や河辺昌久といった前衛的な芸術家が機械をモティーフとして採用した絵画作品などが紹介される。

エピローグとなる「21世紀のモダン・タイムス」では、現代において機械文明やロボット、デジタル時代の視覚性をテーマに制作を行うアーティストを紹介。人体と機械の美を追求するイラストレーターの空山基による近未来的な立体作品や、インターネットを使ったNFT作品を手がけるラファエル・ローゼンダールによる、デジタルとフィジカル(物理的)との境界線を問う高さ3メートルにおよぶレンチキュラー作品が展示される。


『モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン』

期間:2023年12月16日(土)〜2024年5月19日(日)
会場:ポーラ美術館
料金:
大人1800円
シニア割引(65歳以上)1600円
大学・高校生1300円