BUSINESS | 2025/02/04

行政サービスを100%電子化
“ICT大国” エストニア共和国が実現

申請や処理にかかる労力/時間を削減

FINDERS編集部

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革新的なデジタル専門知識を発信、世界のDX化を後押し 

エストニア政府機関であるエンタープライズ・エストニア (Enterprise Estonia) は、2024年12月、エストニア政府が提供する全ての行政サービスが、オンラインで利用できる100%電子化を実現したと発表した。これにより、各種行政手続きがさらに簡素化され、申請や処理にかかる時間と労力が軽減されることになった。

バルト三国の最北に位置するエストニア共和国は、人口約136万人、国土も日本の9分の1ほど (4.5万平方キロメートル) の小国だ。しかしながら最先端の 「電子国家」 として世界中から注目され、各国から多くの視察団が訪れている。世界初の電子住民プログラム 「e-residency」 の導入、選挙における電子投票システム 「i-Voting」 によるオンライン投票の実施など、これまでも99%の行政サービスが電子化されていたが、今回新たに “離婚届” が電子化されることになり、行政サービスの100%電子化が実現した。

これにより離婚届の手続きの大半をオンライン上で行うことができ、職員との面会は1度だけで完了する。財産分与ツール、親権の取り決めに関するガイダンス等もあり、利用者視点に立った設計がなされている。2024年12月から2025年1月6日までに届けられた310件の離婚申請のうち165件が電子申請され、早くも短期間で既に2人に1人が利用するほど普及しているという。

エストニア行政サービスの高いオンライン利用率

エストニアにおける行政サービス電子化の取組みの結果、現在出生登録のオンライン利用率は85%にのぼり、婚姻届のオンライン利用率は56%、離婚届のオンライン利用率は53%にのぼっていうという。高い利用率の背景には、国民IDカードとの連携によって手続きが簡素化されていること、利用者視点の設計によって作られたツールやガイダンス等が充実していること等が挙げらる。

エストニアは2,000以上の島々に囲まれ、豊富な自然資源を有する国だ。一方で、国内に地域や居住エリアが離れて点在していることから手続きのオンライン化、電子化を進める必要があったことも電子化が進んだ要因とも言える。1990年代のインターネットの急速な普及を受け、デジタル国家の実現を目指す人々による会議が開かれ始め、その後、政府を中心に資金の確保が進み、民間企業や技術者などの手によって電子化が推進された。

小さな国でありながら、明確な競争優位性と世界的なベンチマークを持つデジタル社会を作り上げてきたエストニア。日本をはじめ世界各国がDXを効果的に進めるため、エストニアのデジタル専門知識の発信が望まれる。


エストニア共和国について
オープンで、かつ効率的なテクノロジーを用い、世界で最も洗練されたデジタル国家。デジタル・イノベーションの世界的リーダー、デジタル行政のパイオニアとしての位置を確立している。技術革新に加え、ビジネス面や観光面でも非常に優れた機会を提供しており、その代表的な例に 「e-Estonia」 や 「Visit Estonia」 が挙げられる。

「e-Estonia」 は、エストニアの革新的なデジタル社会、先駆的な電子政府、電子住民プログラム、など最先端のデジタルソリューションを紹介するとともに、イノベーティブなエストニア経済と外国企業をダイナミックに結びつけ、グローバル市場へのアクセスを提供している。

また、「Visit Estonia」 は、エストニアを自然と文化がイノベーションと出会う場所として紹介しており、中世の歴史的な魅力や素晴らしい自然景観、活気ある現代都市の雰囲気が融合したユニークな魅力を旅行者に提供している。