BUSINESS | 2024/07/25

増加傾向にある交通事故死亡者数の削減に期待!?
世界最大のテレマティクス・サービス・プロバイダー
が東京オフィスを開設

テレマティックスの世界的リーダー ケンブリッジ・モバイル・テレマティクス(CMT)
が日本展開を強化

聞き手・文:カトウワタル(FINDERS編集部) 写真:平野 安健

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「世界の道路とドライバーをより安全にする」CMTのミッション

世界最大のテレマティクス・サービス・プロバイダーであるケンブリッジ・モバイル・テレマティクス (CMT) は、2024年7月25日(木)、東京オフィスを開設したことを発表した。「テレマティックス」 とは、Telecommunication (通信) と、Informatics (情報科学) をかけわせた造語で、コネクテッドカーや自動車に取り付けられたデバイスと通信システムを用いデータの収集・分析を行い、さまざまな情報を提供するサービスだ。

2023年、日本の交通事故死者数は8年ぶりに増加し2,678人となっており、負傷者や事故自体も増えている。特に「ながらスマホ」 などの脇見運転による事故は1,400件を超えている。こうした自動車事故は日本経済に年間で11兆円の損害(国際交通フォーラムレポートによると、交通事故は日本のGDPの1.8%を占めているとのこと)を与えていると推測され、政府も2030年までに交通事故死者数を2,000人に減らす目標を掲げるなど、日本社会における対策は急務だ。

そんな中、「世界の道路とドライバーをより安全にする」をミッションに掲げるCMTが、日本におけるビジネスを強化することは朗報だ。

CMTのサービスは、AIを搭載した 「DriveWell Fusion®」 プラットフォームを使用し、ながらスマホ、急ブレーキ、速度超過、急ハンドルなどの注意勧告や、スコアリングと安全運転指導による行動変容、事故検知とクレーム処理のデジタル化支援、リワードプログラム構築支援、燃費に関するインサイト、CO₂ 排出量測定、安全運転コンテスト、保険割引などドライバーの安全運転に寄与するさまざまなサービスを提供している。

すでにここ日本においても、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社など、大手自動車保険会社のテレマティックス・プログラムをサポートしており、今後日本の車社会がより良い姿に変化していくことが期待できる。

日本向けにカスタマイズしたサービスを提供

この度、東京オフィスの開設にあたり、創業者で、チーフテクノロジーオフィサー(CTO)を務めるHari Balakrishnan氏と、営業責任者であるChief Customer & Commercial Officer (CCO)のDavid Morse氏が来日、CMTの日本におけるビジネス展開について話しを伺った。

創業者でチーフテクノロジーオフィサーのHari Balakrishnan氏

-- 東京オフィスの開設、おめでとうございます。最初にお伺いしたいのですが、なぜ今東京オフィスを開設し、日本でのビジネスを強化しようとお考えになったのですか?

David Morse:日本では8年ほど前からビジネスを展開しているのですが、今後パートナーと日本国内の事業を強化したいと考えているため、日本にオフィスを構えることで、パートナーとの会話を頻繁に行い、真のパートナーとしてビジネスを拡張したいと考えています。また、日本に住んでいるスタッフがいることで、より多くの学びや情報を共有することで、日本独自のソリューションを提供できると思います。

--日本の自動車社会について、どのような印象をお持ちですか?

David Morse:非常に多くの車が走っている印象があります。特に東京などの大都市では渋滞も多く、安全運転や汚染などのリスクも高いと思います。そのため、テレマティックスの技術を活用することで、ユーザーに安全運転に対するインセンティブなどを提供し、どのような運転をしているかを意識させることは非常に効果的です。また高齢化社会が進む中で、より安全により長く運転し続けるための技術開発にも注目を置いています。

-- この度の東京オフィス開設にあたっては、ビジネスとテレマティクスの専門家を擁し、地域密着型のサービスとソリューションを強化、日本市場向けにカスタマイズされたプログラムを提供されると伺いました。具体的にはどのようなサービスが提供されるのですか?

David Morse:日本におけるサービスは、安全運転をすることによって保険料を割り引くUBI(Usage Based Insurance)や、リワードプログラム、事故検知、事故対応、請求プロセス申請の支援といったものだけではなく、レッカー会社や緊急サービス会社、セキュリティ会社といった日本特有の企業と協力し、技術連携も含めパートナーシップを築いていきたいと思っています。また、「エコスコア」というテレマティックス技術を活用し、安全運転によって燃費の向上を促し、CO2排出の削減を目指すなど、日本に限ったことではないですが、日本が重要視している課題にも取り組みたいと思います。

大手自動車保険会社3社が導入、現在進行中のプロジェクトも多数

-- 現在までの日本での導入状況(導入企業や利用者数など)についてお聞かせください。

David Morse:正式にアナウンスしているのは、大手自動車保険会社3社ですが、ほかにもサービス提供会社やモビリティ関連企業などとサービス開発を行っており、順次発表していきたいと思います。また3月に開催された「ITC Japan」の中で、あいおいニッセイ同和損保さんからの発表によると、すでに95万人のドライバーがサービスを利用しており、これは同時期に導入されたドライブレコーダーの85万台よりも多いということで、会場でも驚きの声が上がっていました。

営業責任者でCCOを務めるDavid Morse氏

--日本の自動車社会において、テレマティックスやCMTのサービスを拡げるために必要なことは何だと思われますか?また今後、業界団体への働きかけや、行政などへの提言といった活動は予定されていますか?

Hari Balakrishnan:世界23カ国でサービスを展開する中で、市場調査などの結果によると、約7割のユーザーが、自分がどう運転するかによって保険料が決まることを望んでいるのが明らかになっています。また我々も過去の事故履歴や運転年数、車種といったこと以上に、脇見運転やながらスマホ、周囲の車と比べたスピードなど、日々どういう運転をしているかの方が正確な事故予測ができると考えています。一方、ユーザーの立場からしても、テレマティックス技術により自分が安全なドライバーであることを証明できる方法を得られるのです。保険会社も保険料の設定における透明性を高めることができますし、ユーザーに対し「安全に運転するようになれば保険料を下げられますよ。」ということも伝えられるようになります。このように、多くの人にテレマティックスについて知っていただくことを積み重ねていくことが重要だと思いますし、安全な社会を作り上げることにつながっていくと思います。

業界団体への働きかけや、行政などへの提言についても、保険会社だけでなくモビリティやライドシェア関連企業、地方自治体都との連携によるサービスの提供や、各大学などの機関との安全運転に関する共同研究を行っています。また、いまだ36州しか整備されていない「ハンズフリー法」を広めるために、施行している州としていない州の比較データを政府に提供しています。

交通事故死亡者数が増加した日本をより安全な社会にするために貢献

-- 最後に今後の展望やFINDERS読者へのメッセージなどをお聞かせください。

David Morse:私たちは日本が大好きです。そして、これから新しいお客様に会えるのを楽しみにしています。日本には自動車メーカーやテクノロジー企業、保険会社など、さまざまなプレーヤーがいると思います。社会を変えていくためには、これらのプレーヤーによるコラボレーションが必要で、我々はそのためのプラットフォームを提供することができると考えており、日本オフィスの開設と日本におけるビジネスの拡張には大変期待しています。我々のサービスを通じ、日本をより安全な社会にするために貢献したいと思います。

Hari Balakrishnan:日本では昨年、8年ぶりに交通事故死亡者数が増加しました。これは人の命に関わる社会的な大きな問題です。また、その損失は日本のGDPや日本経済にも大きな影響を与えています。現在、私たちのサービスは日本の車両8,000万台のうち、1.25%ほどしか普及していません。今後、この割合を15%、20%と高めていくことで、より安全な世の中の実現を目指し、社会に貢献していきたいと思います。

東京・中目黒のスペース中目黒にて

今回話を伺った創業者でCTOのHari Balakrishnan氏と、CCOのDavid Morse氏。お二方とも「世界の道路とドライバーをより安全にする」というCMTのミッションを熱く語り続けていたことが大変印象に残った。また、日本においては、まだまだテレマティックスが浸透しているとは言いがたく、保険会社やモビリティ業界に限らず、各種メディアにおける露出機会も増やして行く必要を感じた。

今後もCMTの動向に注目していきたい。


会社概要

Cambridge Mobile Telematics, Inc (ケンブリッジ・モバイル・テレマティクス)

本社所在地:314 Main St Suite 1200, Cambridge, MA 02142
日本オフィス:東京都渋谷区恵比寿1-19-19恵比寿ビジネスタワー10階
代表取締役:William V. Powers
事業内容:テレマティクスサービスプロバーダー
設立: 2010年
HP:https://www.cmtelematics.com/ja/

問い合わせ先
ケンブリッジ・モバイル・テレマティクス(CMT)
日本アジア営業統括本部 本部長 秋田克彦
Email:kakita@cmtelematics.com
TEL:080-4901-0322