LIFE STYLE | 2020/06/22

「コロナ後の新商機」を早くも見出す企業たち。混乱期の今こそが大変革のチャンス!【連載】オランダ発スロージャーナリズム(25)

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ようやくヨーロッパ内では特定の国を除き国境が開放され、6月15日から行き来ができるようになりました。もともと、すでにいくつかの国では、それ以前に国境が開放されていましたので、欧州内での行き来は一応ほぼ元に戻ったと言えるかもしれません。

ヨーロッパ人は「バケーション命」という人が多く、例年、人によっては1カ月の休みをとってバケーションに出かけるという人もザラですが、オランダでも今年はさすがにその数も少ないようで、おおよそ2/3の人が「今年の夏のバケーションは出かけない」というリサーチ結果もあるようです。

またカフェやレストランも再開しているものの、お互いの距離を保つ、1店舗内の人数はマックス30人などといろいろなルールがあるために、まだ完全には元の生活には戻っていないように感じます。

全体としては、そろりそろりと日常生活を取り戻している途上といった感じでしょうか。COVID-19の重症患者数、死者数などは減りつつも、オランダでの感染者数は相変わらず1日100~200人前後なので、日本と比べるとまだまだ桁違いに多いのも事実です。

一方でヨーロッパのこの時期は「待ちに待った夏到来!」ということで、公園や運河沿いなどの晴れた日の人出は、もうすっかり以前の光景に戻っていたりもします。

平日午後の街の公園の様子。もうサマーバケーション気分が漂ってます

さて、こんな状況ですが、コロナ後に向けた新しい動きが少し見えてきているので、今回はその辺りにフィーチャーしてみたいと思います。

吉田和充(ヨシダ カズミツ)

ニューロマジック アムステルダム Co-funder&CEO/Creative Director

1997年博報堂入社。キャンペーン/CM制作本数400本。イベント、商品開発、企業の海外進出業務や店舗デザインなど入社以来一貫してクリエイティブ担当。ACCグランプリなど受賞歴多数。2016年退社後、家族の教育環境を考えてオランダへ拠点を移す。日本企業のみならず、オランダ企業のクリエイティブディレクションや、日欧横断プロジェクト、Web制作やサービスデザイン業務など多数担当。保育士資格も有する。海外子育てを綴ったブログ「おとよん」は、子育てパパママのみならず学生にも大人気。
http://otoyon.com/

ビジネス面でも理想を推進するための「グレート・リセット」

欧州では、コロナ後は環境に配慮した社会、誰もが公平で差別のない世界、透明性のあるオープンな社会といったあたりが目指す方向として設定されています。こうした動きは「グレート・リセット」(ちなみに来年1月のダボス会議のテーマもこれに決まったようです)、あるいは「グリーン・リカバリー」と呼ばれています。

皆さんもご存知の米国の黒人殺害に端を発した抗議運動「Black Lives Matter」は、オランダでも大きな活動が行われています。しかし、人種差別はコロナ禍を期に今まであった問題が噴出したと考えることもできます。ヨーロッパでもサッカーリーグでの黒人選手への差別的ヤジが頻発していましたし、コロナ発生初期においては、アジア人も随分と差別の対象になったりしていました。

またコロナ禍において、人間の活動量が減ったことで、各地で環境改善の兆しが見られた、というニュースは多くの人が納得したのではないでしょうか? 中には、空気がきれいに感じられたり、海や川の水がきれいになったと実感したりした人もいるかもしれません。

こうした環境の中、グレート・リセットに向けて、企業活動においてはいくつか新しい兆しが見えています。いくつかご紹介します。

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