文:wonders7
愛する人や家族を失った悲しみは、簡単に癒えるものではない。だからこそ最期の別れの場となる葬儀場の存在は大きな意味を持つ。
そんな中、米国ノースカロライナ州フランクリンにあるメイコン葬儀場が、愛らしい「スタッフ」を新たに迎えたと注目を集めている。
セラピー犬を目指すバーニーズ・マウンテン・ドッグ
そのスタッフとは、生後8週間のバーニーズ・マウンテン・ドッグのモチちゃん。温厚で忠実な性格でセラピー犬として活躍する犬種として知られている。同葬儀場で死別と向き合う人たちを癒すチームの一員として採用された。
同葬儀場の管理人のトーリ・マッケイさんは「10年前から葬儀場で犬を飼うのが夢でした」とホームページで説明した。30歳の誕生日を迎えた節目にトーリさんはモチちゃんを飼うことを決断した。
セラピー犬として正式な認可を受けるためには、同州アシュビルの専門機関でのトレーニングを受けなければならない。モチちゃんも、生後6カ月〜1年の間でトレーニング開始する予定だ。それまでは、葬儀場で日々訪れる人と触れ合いながら、トーリさんがしつけをしていくという。
モチちゃんの天性ともいえる愛らしさは、すでに葬儀場に訪れる悲しみに暮れる家族の心に確実に届き始めている。トーリさんは「誰もがモチを迎えたことに対して協力的で、すでに多くの家族に変化を与えています」と語る。
「バーニーズ・マウンテン・ドッグは平均寿命が6〜8年と短いですが、モチの命に出来る限りの目的を与えてあげたいんです」というトーリさんの想いには、モチちゃんを一匹の犬としてたくさんの愛に包まれて生涯を全うさせたいという考えが投影されている。
SNS上で称賛の声、広がる
悲しむ家族を癒すため、葬儀場が犬を迎えたという話題はすでに大きな反響を読んでおり、SNS上では「素晴らしいアイデアだ!」「犬は人間が何を求めているか知っている」といったコメントが寄せられている。
当然ながら、誰もが犬が好きとは限らないことから、要望がある時のみモチちゃんは葬儀場で家族に寄り添う。「その存在感は、穏やかな空気となり、その場にいる人々の癒しとなっているんです」とトーリさん。
人そしてコミュニティのためになることがしたい、と願うひとりの女性の想いと深い愛が、一匹の子犬のこれからの日々に無限の可能性を与え、そして多くの人を癒していくのであろう。