LIFE STYLE | 2019/12/24

5歳女の子がココアスタンドを開店。売上を同じ学校に通う123人分の未払い給食費に充てる

文:宮西瀬名

子どもの貧困は世界各地で問題視されている。この問題を解決するためには、若い世代のアイデアと行動力も必...

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文:宮西瀬名

子どもの貧困は世界各地で問題視されている。この問題を解決するためには、若い世代のアイデアと行動力も必要になるのかもしれない。

そんな中、米国カリフォルニア州ビスタの小学校に通う女の子の行った慈善活動が、大きな注目を集めている。

レモネードスタンドから着想

5歳の小学生ケイトリン・ハーディーちゃんはある日、給食費の支払いに苦労しているというクラスメイトの話を耳にした。このことに衝撃を受けたケイトリンちゃんは、この貧困問題をどうにかしなければならないという気持ちが芽生えた。

この時の様子をケイトリンちゃんの母親であるカリーナさんは、「彼女は私にさまざまな質問をしてきて、5歳の子どもでも分かるように答えました。あと、『私たちのように幸福な生活を送れていない人もいるの』と説明しました」と『FOX5』の取材で話している。

試行錯誤を重ねたケイトリンちゃんは、夏休みに利用したレモネードスタンドから着想を得て、ホットココアや自家製クッキーを販売するスタンドを立ち上げることにした。そして、12月8日にスタンドをオープンし、3時間の営業で80ドルの売り上げを記録。このお金はすぐに学校側に寄付され、123人分の給食費の支払いに充てられた。

「子どもにこんなことさせてはいけない」という声も

ケイトリンちゃんの通うブリーズヒル小学校のローリー・ハイリー校長は『CNN』の取材に「生徒たちは現状を改善するための方法について話し合いをしています。ケイトリンちゃんの優しい行動が、誰もが異なった生活を送っていることを教えてくれました」と他の生徒にも好影響を与えたという。

ケイトリンちゃんは今後の目標として、貧困に苦しむ家庭への寄付活動を自校だけでなくビスタ学区に広げたいと考えており、この取り組みを「#KikisKindnessProject」と命名し、土曜日にココアやパンなどを提供するスタンドを開いて寄付金を集めている。

さらに、ケイトリンちゃんはその先も見据えている。ビスタ学区全体に寄付金が回った後は、予算削減のために廃止されそうな学校行事を支援するために寄付金を活用したいと検討しているとのこと。これからのケイトリンちゃんの活躍から目が離せそうもない。

このニュースは大きな反響を集め、称賛の声が集まる一方、「5歳の子どもにこんなことをやらせてはいけない」と、政府や自治体の責任を問う声も散見された。中には、「この問題は現在多くの学校で起きている」とこのニュースを明るく報じることに違和感を示す人も。ケイトリンちゃんの活動は本当に素晴らしいが、まず大人が先頭に立ってこの問題に取り組む必要がありそうだ。