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文:岩見旦
もはや絶望的!6年後に迫った「昭和100年問題」が話題
2019年5月1日、平成が終わり新たな元号が始まる。新元号の公表は4月1日と、改元のわずか1カ月前。官公庁や自治体、企業などのシステム改修を担うシステムエンジニアは、短期間での早急な対応が迫られる。
しかし今、システムエンジニアは新元号対応より、さらに大きな問題に直面していると、SNS上で注目を集めている。それは「昭和100年問題」だ。
現在、ほとんどの場面では西暦が使用されているが、行政関係の書類や保険・金融関係の書類は現在でも和暦が使っているケースがある。昭和100年にあたる2025年、年の管理に“昭和2桁”を継続して扱ってきたコンピューターシステムが、不具合を起こす可能性があり、「2000年問題」と類似した誤作動を起こす恐れがあると言われている。
あるTwitterユーザーは、この「昭和100年問題」を取り上げ、“昭和2桁”で動いているCOBOLプログラムの存在を指摘。5年後など未来の日付判定をするものもあるので、改修は一刻の猶予もないと明かした。このツイートは約6000件のリツイートを獲得し、大きな反響を呼んでいる。
これをきっかけに、「銀行や大企業の基幹システムが、どうしても更新できなくて…」「30年40年も前だと仕様書がなかったり、残っていても仕様変更の追記はなかったり、コンパイルされて動いているのに、なぜかソースコードがない」「法的な保管期間の5年が過ぎて人事で人が変わって、事情を知らない担当が勝手に廃棄した」など、現場の悲鳴が寄せられた。
2000年問題に対応した元プログラマも告白!
実際に2000年問題発生時にCOBOLプログラムの対応をした元プログラマは、本来であれば年の管理を“西暦2桁”で取得しているのを“西暦4桁”に変更すべきだったと前置きし、「時間的に無理があるし、20年後もこのプログラムが現役とは思えない」という当時の上司の判断で、“西暦2桁”から“昭和2桁”に修正し、その場を凌いだと当時を振り返った。
昭和40年代〜50年代のプログラマたちは、これほどまで長く自らのプログラムが使用されることになるとは想像していなかったのだろう。彼らに責任の一旦を押し付けるのは難しい。
また、「昭和100年問題」の他にも、32ビットの時刻データを扱っている古いOSやアプリケーションを搭載したコンピューターが、2038年1月19日3時14分7秒を過ぎると、秒の値がオーバーフローして誤動作すると危惧されている「2038年問題」など、コンピューターが抱えるトラブルは今後も目白押し。システムエンジニアは眠れぬ夜が続きそうだ。