LIFE STYLE | 2019/03/15

Amazonが疑似科学のデマ医療本の販売を中止。漂白剤を摂取すると自閉症が治るなどありえない治療法を掲載

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文:岩見旦

科学的根拠がないにも関わらず、表面的には科学のように装っ...

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文:岩見旦

科学的根拠がないにも関わらず、表面的には科学のように装った疑似科学。突飛なダイエット方法や効果が過大評価されているサプリメントなど、実は私たちの身の回りにも誤った健康情報は溢れている。

疑似科学は権威を否定する論法の心地よさから、一部の人には魅力的に映るかもしれない。しかし、これらの誤った健康情報の拡散に対策を講じる責任を企業は負っている。

根本からの治療は出来ない自閉症

米国Amazonは12日、マーケットプレイスから自閉症治療に関する2冊の本の販売を中止した。それらの本には、漂白剤の摂取、水銀中毒の解毒剤の服用といった科学的根拠に基づかない方法で自閉症が治療できると記載していた。

自閉症は先天性の発達障害であり、現代の医学では根本から治療することは出来ない。それにも関わらず、自閉症治療の疑似科学本が発売されていたのだ。

Amazonは販売中止した理由や他の本にも適用される可能性などの質問に、コメントを差し控えている。

Amazonが削除した本の内容とは

削除された『Healing the Symptoms Known as Autism(自閉症の症状の治療)』は、漂白剤を摂取することで発生する二酸化塩素の効果で自閉症を治す方法を紹介。商品ページでは631のカスタマレビュー、平均評価3.5を獲得していた。米国の食品医薬品局はこれに対し「重度の吐き気や嘔吐、脱水による致命的な低血圧」を引き起こす可能性があると警告していた。

削除されたもう1冊『Fight Autism and Win(自閉症と戦い勝つ)』は、水銀中毒の解毒剤を子どもに服用させる「キレート療法」を親に勧めるという内容。自閉症は小児時のワクチンによる水銀曝露が原因とする根拠から生まれた治療法だ。この治療法について専門家は、致命的な腎臓の障害を含む深刻な副作用を引き起こす可能性があると注意を促している。Amazonで54のカスタマーレビューに、平均評価4.8という高評価を得ていた。

言うまでもなく、これらの自閉症の治療法に科学的根拠は無い。くれぐれも実践しないでいただきたい。

オンラインプラットフォームに向けられる厳しい目

Facebookは先週、ワクチンに関する虚偽情報を投稿しているグループやページの表示ランクを下げるなどの対策を強化すると発表した。Pinterestは先月、ワクチンに関する検索結果をすべてブロック。YouTubeも同じく先月、反ワクチンの内容を含む動画に広告が掲載できない仕様となった。またAmazonも先週、Prime Videoから反ワクチンのドキュメンタリーを削除した。

オンラインプラットフォームは誤った健康情報を提供していないか、厳しい目が向けられている。筆者もメディアに関わる1人として健康情報の取扱にはくれぐれも注意したいと改めて感じた。