ITEM | 2023/01/27

クリエイターから人気を集めるアバターSNS「Bondee」ってなんだ。ざっくり解説&使ってみた

文:赤井大祐(FINDERS編集部)
アメーバピグの再来?メタバースの(局所的)本命?
毎日のように登場する新しい「...

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文:赤井大祐(FINDERS編集部)

アメーバピグの再来?メタバースの(局所的)本命?

毎日のように登場する新しい「メタバース」サービス。このバブルに乗ろうと多くの企業が飛び込んだはいいがあまり利用されない、という憂き目にあっている。現状メタバースと呼ばれるプラットフォームサービスを評価する軸があるとすれば、「実用的であるかどうか」ではないだろうか。

その点で『Bondee』には期待が持てるかもしれない。売り文句こそ「次世代メタバースSNSアプリ」というテンプレ的な不穏さが漂うものだが、筆者の観測する範囲では1月25日あたりから主にTwitterやInstagramユーザーの美大卒であったり・非IT系のものづくりを生業にしているような方々がBondeeのスクリーンショットを投稿する姿が少しずつ増えている印象だった。

特にTwitter上ではタイ語での投稿が多くみられる。2022年の末までタイに留学をしていた筆者の友人に訪ねたところ、1月27日現在、タイにおいてもっとも流行している物のひとつだという。試しにTwitterにアカウントのQRコードを載せてみたところすぐさま5、6人のタイ人と見られるユーザーから友達申請が送られてきた。

Bondeeは自身の分身となるアバターを作成し、ユーザー同士で交流するサービスだ。アバターは髪型や顔のパーツから自由にカスタマイズ可能。肌の色は当然グラデーションの中から選ぶこととなる。そして思い思いの服装やアイテムを装備し、自分好みのアバターへと仕立て上げる。

自分に似せたアバターを作ろうとしたら胡散臭そうな男になってしまった。背景デザインがとても今どき

ホーム画面上では各ユーザーが自由に佇んでおり、アバターをタップすることで相手とのチャットを開始できる。チャット画面に表示されるのは、これまでのような丸抜きのアイコンではなくアバター。テキスト以外にも「エモート」によってコミュニケーションを取れるのも直感的で楽しい。

ホーム画面(左)、チャット画面(右)

エモートを選んでアバターにアクションを取らせることができる。二人用のエモートも用意されている

もう一つのカスタマイズ要素が「アパート」だ。与えられた自室の定められたマスの中に家具やアイテムを配置できるほか、壁紙や床の色も変更可能だ。

インテリアなどは自由にカスタマイズできる

そしてアパートには友だち登録をしたユーザーの部屋が表示され、自由に訪問可能。部屋に付箋型の「メモ」を残すこともできる。

各ブロックの上にそれぞれが居を構える

付箋を張るとちゃんと部屋の中に表示されるのも芸が細かい

ホーム画面からは「航海」モードを利用できる。メッセージボトルを投げる/受け取ることで、ランダムなユーザーと交流でき、航海を続けることでアイテムも入手できるようだ。

基本的な形式は2009年のサービス開始以来人気を集めた「アメーバピグ」(現在はpiggとしてスマホ版のみ継続中)と非常によく似ている。だがBondeeからは、ピグにとは異なる非常に現代的なセンスを感じる。

アバターに用意されている髪型や服装は韓国のポップカルチャーや日本のアニメカルチャーの影響を色濃く感じる。基本的にユーザーのセンスに依らず、どんなアバターを作ろうとも、それなりに“イケてる”分身を生み出せる点は興味深い(いわゆる“無課金ユーザー”姿でもそれなりに見えるのだ)。その上で自身の趣味嗜好を反映させることで、アバターが理想の姿へと近づいていく。利用していて「思い通りにならない」といったストレスを感じづらい。ついでに言えば手狭ながら目一杯の趣向を詰め込んだ自室も、まるで現代の若者の生活を映すようだ(ピグでは自室を増床することもできたがBondeeは現状不可)。

驚いたのが、これだけ細かい3D描写をしつつもアプリ利用中の動作の重さをまったく感じさせない点だ。起動こそ多少時間がかかるものの非常に「実用的」である。

そしてなによりアバターや服装、ちょっとしたアイテム、スクリーンショット用の背景、インターフェースなどの「デザインの良さ」が、ユーザーを惹きつけている理由だろう。いわゆるY2K的な雰囲気を取り入れながらも、非常にポップかつハイクオリティである。

マス的な流行となることは考えづらいうえに、できることもそれほど多くないため、あっという間に立ち消えてしまうことも十分考えられるものの、若者を中心に局所的に強い人気を集めるのではないかと思う。ちなみに編集部舩岡が弟(22歳・美大生)に教えたところすぐにハマり、パートナーとチャットを楽しんでいるということだった。

友だちの登録可能人数は50人が上限となっており、非常にリアルな"友だちの上限"という気もする。交流の輪を外に広げていく使い道ではなく、あくまで仲の良い友人同士で交流するためのツールとなりそうだ。

開発を行うのはMetadream社というシンガポールにオフィスを置く会社だが、現在InstagramとTikTokの公式アカウントは日本と韓国の2つが確認できる。今後のアップデートなどを通じて、どのような機能を実装していくのかは気になるところ。乱立する「メタバース」に一つの楔を打ち込むことができるのか期待だ。

(追記)

なお在米デザイナーの灰色ハイジさんの投稿によれば、アメリカではダウンロードできないとのこと。アジア圏に限ったサービスなのか、今後US版もリリースされるのかは不明だ。


Bondee(App Store)

Bondee(Google Play)

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