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河野氏「平成型改革主義の延長」、高市氏「極右イメージだが意外なコミュ力」、岸田氏「インテリ主導のコンセンサス重視」自民党総裁選、誰が勝つとどうなる?【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(21)
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  • 2021.09.13
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河野氏「平成型改革主義の延長」、高市氏「極右イメージだが意外なコミュ力」、岸田氏「インテリ主導のコンセンサス重視」自民党総裁選、誰が勝つとどうなる?【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(21)

Photo by Shutterstock

連日どんでん返し的なカードの切り合いが報道されて注目を集める自民党総裁選ですが、あなたはどう思いますか?

この連載の編集部から自民党総裁選についての記事を依頼されて、直前まで私は

「河野VS岸田」でどう変わるのか?今回は河野路線(アメリカンな“抵抗勢力”を押しのける型の改革主義の延長)でなく、岸田路線(宏池会系インテリ主導のコンセンサス重視路線)に舵を切るべき時ではないか?

…という記事を準備していたのですが、記事を書く直前に全然期待せずに観た高市早苗氏の出馬会見が予想の100倍ぐらい良くて、これは本気で日本初の女性首相誕生がありえると思ってしまいました。

一度の会見ですべてが理解できるわけではないとしても、この会見の印象としてはむしろ特異なバランス感覚の持ち主に見え、巷で言われる「極右政治家」的な印象が全然なかった。

その後色々な「最右翼層御用達のYouTube動画」に高市氏が出ているのを観たところ、その「最右翼層の気持ち」を汲みつつ、自分自身は「左翼系の記者もいるオープンな記者会見でも通用する言論」のバランス感覚を維持し続けているセンスには脱帽する思いを持ちました。

高市氏はほんの二週間ぐらい前まで「ネット右翼のアイドル」みたいな扱いで、あまりマトモな候補者とは見られていませんでしたが、今や「次の日本国首相になるかもしれない有力候補の少なくとも三番手」ぐらいまでは来ていて、いつまでもアンタッチャブルな扱いを続けるわけにもいかないわけで、当然ながら民放などのニュース番組でも高市氏をゲスト出演させ声を直接報道するケースも増えてきています。

というわけで、「極右政治家」だという偏見を持って「2時間の会見動画」を観たら印象が全然違って驚いた!!!という新鮮な感情のままに

「おいおい女性首相誕生しちゃうかもよ!?」という直球の記事を自分のブログで書いたバージョン

は、今BLOGOSという言論サイトにも転載されてランキング1位になっている↑のでそちらを読んでいただくことにして…

こちらではもっと冷静かつ中立的に、

今の日本で高市氏という政治家が「次の首相候補の少なくとも第3位」にまで来ていることの意味をどう考えればいいのか?

について考える記事となります。

倉本圭造

経営コンサルタント・経済思想家

1978年神戸市生まれ。兵庫県立神戸高校、京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて「グローバリズム的思考法」と「日本社会の現実」との大きな矛盾に直面することで、両者を相乗効果的関係に持ち込む『新しい経済思想』の必要性を痛感、その探求を単身スタートさせる。まずは「今を生きる日本人の全体像」を過不足なく体験として知るため、いわゆる「ブラック企業」や肉体労働現場、時にはカルト宗教団体やホストクラブにまで潜入して働くフィールドワークを実行後、船井総研を経て独立。企業単位のコンサルティングプロジェクトのかたわら、「個人の人生戦略コンサルティング」の中で、当初は誰もに不可能と言われたエコ系技術新事業創成や、ニートの社会再参加、元小学校教員がはじめた塾がキャンセル待ちが続出する大盛況となるなど、幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。アマゾンKDPより「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」、星海社新書より『21世紀の薩長同盟を結べ』、晶文社より『日本がアメリカに勝つ方法』発売中。

1:日本国民は“対話”に飢えている?

「会見動画を観てビックリした!」という感情のまま書いた記事で何度も書きましたが、高市氏の出馬会見については、「極右政治家でヤバい人らしい」「過激な最右翼勢力限定のアイドルなんだろう」と思っていたら全然違う印象でビックリしたんですよね。

小池百合子氏とか蓮舫氏とかのような「空疎なキャッチフレーズを連呼することが仕事」みたいな「日本の女性政治家のよくあるタイプ」では全然なかった。扱っている政策について議論の全体像を意識しながら非常に解像度高く具体的細部まで縦横無尽に話す能力があるし、何しろ「双方向的」に記者とやり取りしながら議論を発展させていける能力も見えた。

要するになんか、

「普通に優秀そう」

なのがビックリしたというとメッチャ失礼なんですけどまさにそういう印象だったんですよ。

この連載の担当編集が、僕が書いた記事を読んで彼も高市氏の会見を観たところ、以下↓のように驚いたと言っていました。

安倍・菅・麻生・河野、その他各大臣が国会や記者会見で説明や討論をシャットアウトする姿勢を10年近く見せられて「これがおかしいと思う自分がおかしいのか?」とも思えてくる中で、高市・岸田的な「とりあえず対話はしてくれる」姿勢を見せられると、立憲などの野党が「糾弾一辺倒モード」を報道で目立たせる姿勢から、これまでやっていなかったわけではなかった「理詰めで問題点と改善案を指摘する」姿勢をより強調するモードに変節できないと今後マジでヤバいぞ、という危機感を強く覚えました。

かなり過激な「最右翼勢力」の支持を受け、その支持者向けの発言や行動も多数あることを問題視する左翼の人も多いと思いますが、むしろそういう層の支持をちゃんと取り付けて基盤としておきながら、会見などの場においては

保守派の原則をリベラル派も理解できる文脈で表現するバランス感覚

を維持するのは、ちょっと魔物レベルのコミュニケーション能力を感じました。

むしろ高市氏が政権につくことで、懸案だった例えば「夫婦別姓制度」とか「歴史認識問題」などの「リベラル派の課題」に新しい解決策が見えてくるのではないかとすら私は考えています。

とりあえず「歴史認識問題」だけを取っても、高市氏だからこそ「一歩踏み込んだ解決」が、単に「中国韓国にもっと強硬に出るべき」みたいなレベルとは雲泥の差で違う高い視点から生まれてくる予感すらあって、それについては別の記事を書いたのでそちらをお読みください↓。

アメリカのアフガン撤退以降の世界的情勢だからこそ可能な「歴史認識問題」のあるべき解決策を考える。

「誰かを絶対悪として非妥協的に糾弾することで自分たちはイノセントな存在でありえる」というような、20世紀の人類社会の諸悪の根源的な欺瞞を克服することでしか、徹底的に多極化する現代社会における「平和への本当の責任」は果たせません。

単なる紋切り型の「20世紀的左右対立」を超える視点からの根底的な解決の可能性について書いています↑。

それ以外にも、例えば「夫婦別姓制度」的なリベラル的課題にすら、

“極右政治家”の高市氏だからこそできる「リベラル的課題の解決」というものもありえるのではないか?

ということを私は考えているのですが、それは別の機会に深く掘り下げたいと思いますので少しお待ちください。

2:「対話」を軽視するネオリベ型“ビジネス右派”の時代の終わり?

今回の記事ではまず、高市氏の「対立する意見の人にも開かれたコミュニケーションスタイル」がもたらす変化の可能性…という点をまず深堀りしたいんですね。

実は、経営コンサルタントの私のようなビジネス的キャリアの人にありがちな価値観として

「政治家は政策をちゃんと実行することと、その政策内容の優先順位をブレずに設定することが最重要だ」

…みたいな考え方の人は、別にスガ首相の会見だってそれほど悪いとは思ってないんですよね。

そういう人は、

説明足りないって言うけどさ、前日に出たコロナ対策会議の資料に背景のデータ分析も含めて全部書いてあるじゃん!PDFを落として読めばいいだけなのに直接政治家がテレビで説明するとか必要なの?

って思いがちなんですが、今回担当編集が、

たとえ回答にはぐらかしや我田引水が混じっていたとしても、政権に批判的な記者が野次ったりするのを排除せずにちゃんと受け止めてる時点でこれまでの主要自民党政治家とは“まったく違う印象”があった

と言っていて、恥ずかしながら私は盲点をつかれたというか、

そういう価値観もあるのか!!!

と思いました(笑)。

安倍スガ時代が「地獄だ!」って言ってるタイプの人は「そういうの」を求めていたのか。「対話」がほしかったのか!なるほどね!!

…みたいな(笑)。

実際高市氏の会見については、私のような“ビジネス右派”みたいなタイプの人からは、例の「原発処理水放出問題」で地元とのコンセンサスを重視するという発言に対して「総スカン」みたいになっており、「高市なんぞ支持するのはアホ」みたいな吹き上がり方をしているグループもあるんですが、一方でこの「対話を求めている層」においては…

例えばフェミニスト的アカウントの人の、

こいつは敵だし絶対キケンだと思うけど、コミュニケーション能力が抜群に高いのは認めざるを得ない。スガなんかとは全然違う

みたいなツイートが大量にシェアされていたり、左派寄りのジャーナリストの人とかが、

野次ったり批判的質問をしたりする独立系ジャーナリストを排除せず、しかも高圧的にもならずにちゃんと対話的に質問に答える高市氏の様子

についてポジティブな評価を与えているのをチラホラ見ました。

次ページ 3:「ビジネス右派的強引路線」の限界に直面したのがスガ政権の空中分解

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