EVENT | 2020/04/01

新型コロナ関連デマが撒き散らされる今こそ「夢」を語ろう。PR TIMESが200社以上の「夢」プレスリリースを無料配信する「April Dreamプロジェクト」が始動

文:神保勇揮
暗い自粛ムードではなく、ポジティブな「夢」を発信
毎年のエイプリルフールの風物詩といえば、各企業のPR...

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文:神保勇揮

暗い自粛ムードではなく、ポジティブな「夢」を発信

毎年のエイプリルフールの風物詩といえば、各企業のPRパーソンがあの手この手で繰り出すネタの数々。毎年膨大な数が発表され、ウェブメディアによるまとめ記事も盛況だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴うデマが大量に出回っていることもあり、Twitterではエイプリルフールネタ投稿の自粛や、デマへの注意喚起を呼びかける投稿が増えている。

一方で、こうした暗い情勢をポジティブなムードに転換しようという動きもある。プレスリリース配信サービスの「PR TIMES」を運営する株式会社PR TIMESの「April Dreamプロジェクト」がその1つだ。

同プロジェクトでは、各企業・団体が「嘘」ではなく「夢」を記したプレスリリースを4月1日投稿分に限り無料で配信でき、PR TIMESのサイトおよび特設サイトで一挙公開。また個人の場合は同じく特設サイトで公開されている「夢ジェネレーター」を使うと、全国47都道府県・東京23区の空の写真に載せて夢を記した画像を作成、TwitterやFacebookに投稿でき、こちらも特設サイトにまとめられる。

プロジェクトは3月18日に発足し、企業・団体の参加を呼びかけたところ、今年が初の試みだったにも関わらず450件を超える問い合せがあり、200社を超える企業・団体が事前に当プロジェクトへの参加を表明したという。今もリアルタイムでプレスリリースが更新されている。

本稿でも、各企業が投稿した「夢」をいくつかピックアップしてお届けする。

AIロボットがあなたに足りない栄養を自宅に自動でお届け(カゴメ)

大手飲料・食品メーカーのカゴメは指輪型のウェアラブル端末で1日の食事、身体、睡眠、運動などのデータから、幸福度、元気度、充実度、ストレス度などの状態を推定し、最適な食事や、心を満たす音楽、映像、本、香りなどを、AIロボットが自宅までお届けするサブスクリプションサービス「カゴメ スマートリング」の開発を提案した(実現性が高そうな内容なので改めて書いておくが、あくまでこれは「夢」である)。

これらのデータはAI分析センターへ集約され、AIロボットが利用者の希望する食事や生活に合わせてソリューションをセットアップし、自宅へ配送。駅を利用している人は最寄り駅の改札を出てから30分後に、それ以外の方は事前に登録した帰宅時間に合わせて届ける。

また離れた家族などともデータをシェアすることで安全・安心も見える化。身に着けるだけの端末と自動配送サービスにより、忙しく働く人には不規則な生活の一助に、買い物に出づらい高齢者や高齢の家族を持つ方には毎日のケアを、簡単に個別にカスタマイズして行うことができるとしている。

宇宙規模での資産形成を提案(松井証券)

松井証券は20代の男女を対象に資産形成に関するアンケート調査を定期的に実施しており、2040年3月調査の結果を発表。資産形成に取り組む20代の割合が初めて80%台に到達したと同時に、近年急速な開発が進む「月面不動産」が資産人気ランキングで初めて1位となったという。ハイリスク・ハイリターンな商品である一方、地域別の投資先として昨年から人気を伸ばしてきており、時間分散効果を期待した若年層に人気が出ているものだと分析している。

1日1個以上、卵を食べて日本人の健康寿命を伸ばしたい(キユーピー)

上記の2事例は「これって本当じゃないんだよな…?」と二度見してしまうような作り込み型の「夢」だったが、正面から語る企業ももちろん存在する。その一例が大手食品メーカーのキユーピーだ。

同社は日本人の健康寿命(介護を必要とせず自立して過ごせる期間)が平均寿命よりも約10年も短いことを受け、栄養価の高い卵をもっと食べたくなる仕掛けを通じて健康寿命を伸ばす取り組みを提案。

具体的には
・温めても固まらないスクランブルエッグや白いオムレツ、かまぼこやケーキの原料など、これまでに多数の卵加工品や素材品を開発している
・2015年からユニバーサル・スタジオ・ジャパンの期間限定イベント「ユニバーサル・イースター・セレブレーション」に協賛し、期間内はパーク内で卵を使ったカラフルなイースター・メニューが食べられる
・かつて「卵にも含まれる、コレステロールを摂り過ぎると体に悪影響があるので1日1個まで」と言われていたことに科学的根拠はなく、厚労省によるコレステロール摂取目標量も削除されたことを啓発
といったこれまでの取り組み内容をプレスリリース内に盛り込んでいる。

各企業・団体の取り組みを読んでいくと、改めて真面目に企業ミッションを語るものもあれば、「実はもう密かに始めてるのでは?」と思える実現性の高そうな投稿もあるし、もちろん荒唐無稽な「ネタ」に寄せた投稿もある。

「嘘から出た真」という言葉もあるように、こうした場を使った空想企画が意外にも実現されてしまうことももちろんあるだろうし、各企業・団体の取り組み内容を改めて周知させる機会にもなりえるだろう。こうしたポジティブな取り組みが来年以降も広がっていくことを期待したい。