この数年、「大人のためのサードプレイス」としてのスナックに対する注目がゆるやかに高まっている。古くから存在する店舗を再評価する動きがある一方で、新たにオープンする店舗も登場し始めた。
2016年7月に五反田でオープンした『コワーキングスナック CONTENTZ分室』もそんなニューカマーのひとつ。経営するのは業界では有名な編集プロダクションの「ノオト」。なぜスナックなのか、一体どんな魅力があるのか、ノオト代表取締役の宮脇淳氏と飲みながら話を聞いた。
聞き手:米田智彦 構成・写真:神保勇揮
宮脇淳
ノオト代表取締役、品川経済新聞編集長
1973年3月、和歌山市生まれ。雑誌編集者を経て、25歳でライター&編集者として独立。5年半のフリーランス活動を経て、コンテンツメーカー・有限会社ノオトを設立した。編集者・経営者として、企業のオウンドメディアづくりを中心に、コンテンツ制作に携わる。フリーランス支援として東京・五反田のコワーキングスペース「CONTENTZ」を、夜の社交場としてコワーキングスナック「CONTENTZ分室」を運営。全国各地で「#ライター交流会」の活動も。Twitter:@miyawaki
「ワイワイできるコワーキングスペース」を考えたらスナックになった
ノオト代表取締役 宮脇淳氏
ーー 編集者で編プロの社長もやっている宮脇さんですが、なぜスナックをやろうと?
宮脇:実は「飲食店をやるぞ!」と思っていたわけではなかったんです。
ノオトは2014年、創業10周年を機に高輪台から現在の五反田に引越してきました。この時、スタッフの数が増えたわけじゃないのに、面積が3倍くらいの物件を借りたんですよ。それで空間ができたんで何をしようかということで、コワーキングスペース『CONTENTZ(コンテンツ)』を作りました。
CONTENTZはライターや編集者、クリエイターが集まる場所になったんですけど、本来のコワーキングスペースってもっとワイワイしていてもいいのに、使う皆さんの仕事柄、静かに仕事をする環境を求めている人も多くて、当初のイメージとギャップが生まれたんです。
CONTENTZを始めて2年経ったタイミングで、よく通っていたこの五反田のスナックビルで空き物件があると聞いて、見せてもらいました。ただ、その物件がイマイチだったので、同じビル内に他にないか聞いてみたら、この場所を開けてくれて。聞いた話によると、20年近く眠っていた物件らしいんですよ。他の店の人たちも「あの奥にまだ店があったの?」みたいな感じでした。
コワーキングスナックは、数十軒もの居酒屋・スナックがひしめく「リバーライトビル」の2階奥に立地。ビジネスホテルも併設されているので終電を気にせず飲めます。
ーー それで「じゃあ、ワイワイできるスペースをここに作れるな」と思ったわけですか?
宮脇:パッと見て、特にこの場所は狭さがいいなと感じました。CONTENTZは広くてゆったりしているんですけど、こっちはコミュニティという意味でも密な方がいいなと。
当時はまだ今ほどスナックブームではなかったけど、すでに新丸の内ビルにできた『来夢来人(ライムライト)』が話題になったり、玉袋筋太郎さんがスナックの啓蒙をやっていたりという流れがありました。僕自身もスナックによく行っていたので「うちもスナックを持っちゃえばいいじゃん」っていう感じで作りました。
「テキスト以外の編集」の可能性を求めて
ーー 飲食店をやるというよりプレイスビジネスの一環だったという感じですね。
宮脇:はい。僕は編集という仕事を生業にしていますが、これまでにも「紙やウェブサイトではない編集」をいくつかやってきました。コワーキングスペースの前には「リヤカーブックス」というリヤカーの本屋を1年くらいやってみたりですとか。リヤカーをネーミングライツ制にして、ちんどん屋的な動く本屋ですね。
新聞や雑誌、ウェブメディアなどにはちょいちょい取り上げていただいて、それなりに話題に放ったのですが、売り上げベースで見ると正直言ってあまり上手くはいきませんでしたが。
「テキスト以外の編集」の可能性を求めてトライアンドエラーを繰り返してきた中で、このスナックも編集の一環という感じですね。
ーー さっきスナックブームとおっしゃいましたけど、「コミュニケーションツールとしてのスナックがアツい」みたいな言説についてどう思われます?
宮脇:それは詰まるところ、スナックに限らない「居心地のいい場所で常連化することの良さ」みたいな話だと思うんですけど、一方で「必ずしもコミュニケーションしなくちゃいけない」ということでもないと思います。
今の60、70代の方はわりとスナックに行き慣れていたりして、「キャバクラやガールズバーで若い女の子としゃべるよりも、ママとの方が楽しい」というのがあると思うんです。
でも30、40代の僕らからすると、まだまだそういうスナックは敷居が高いので、自分たち向けの場所を作りたいというのがあったかもしれないですね。ここはスタッフもお客さんも年齢層は比較的若めです。
ーー 僕は今年45歳になりますけど、スナックに行くとまだまだ“小僧”ということで入っていいものか逡巡してしまうというか、敷居の高さを感じます。常連さんとの一体感がある店にふらっとは入れない感じがしていて。
宮脇:クローズドなところですもんね。スナックって扉の中の様子が見えないじゃないですか、だからまず怖くて開けられない。
僕もリサーチのために飛び込みで行ったこともあるんですけど、チラっと覗いてみるとみんな気づくんです。ママと目が合ったときに「おいでよ」って雰囲気だと僕も安心して入れますし、「初めてなんですけどいいですか?」って感じで明るくひと声かけてみると、意外と歓迎されます。
ーー そうなんですよね。僕もそうやって何軒か開拓していっているんですけど、最初のドキっとする感じは毎回あります。
宮脇:米田さんみたいにどこにでも飛び込んでいける人がいる一方で、基本的に普段遣いでよく行くお店とか、職種的な付き合いで行くお店とかってそんなに毎回違うわけではないですよね。
で、そうした中で「常連化してもらえるお店」を作るための立地として五反田はどんな感じだろうと考えるんですが、山手線沿いですし、お店が駅からそんなに遠くないので、それだったら来てもらいやすいかなという狙いもありました。
そういう意味では、五反田って今はITベンチャーの街だと言われているので、そういうところにあってもいいのかなと。編集・ライター以外のいろんな人が来てくれるので面白いですね。
ーー スナックって、今風に言うと、「大人のためのサードプレイス」みたいなものだったんですかね。ベンチャー系の人も来るんですか?
宮脇:そうですね。この近くで会社をやっているとか。もちろんクリエイターだけではなくて、経営者とかも来てくれます。
電源・Wi-Fiあり、完全禁煙
ーー 宮脇さんが考える、比較的若い人でも入りやすい新しいスナック、「スナック2.0」みたいなものを作るうえで、どんなことを工夫しましたか?
宮脇:それはまず禁煙にしました。
ーー 今日、「スナックに取材に行くなら」っていうことで吸う気満々で来たんですが(笑)。
飲み屋でタバコが吸えないと手持ち無沙汰になりますよね。
宮脇:すみません(笑)。禁煙+カラオケ無しで、代わりにWi-Fiを飛ばしてコンセントがテーブルの下に10個くらいあるんです。一応、ここでもPC作業ができます。
僕は煙草を吸う人とも飲みますし、毛嫌いしているわけではないんですけど、特に若い人が煙草を吸わなくなってきているし、吸わない人が多いのに我慢していてもらうのも申し訳ないので、そういう空間があってもいいんじゃないかと。
ーー コワーキングスナックを1年半やられてみて、宮脇さん流のスナックに対する考え方は変わりましたか?
宮脇:あんまり変わってないですね。ただ、コワーキングスペースと同様にコミュニティづくりという観点では興味深いと感じる発見がいくつもありました。
「スナック、始めました」となると、最初は知り合いが来てくれるじゃないですか。もちろんありがたいんですけど、自宅が遠いとなかなか頻繁には来ていただけません。
ただそれって悪いことばかりじゃないんです。コミュニティ化の悪い側面、つまり排他的な感じにはならず、半オープン的な誰でもウェルカムな状態が維持できるんですよ。
ーー 銭湯的な感じですか? 僕は銭湯によく行くんですが、絶えず人が出たり入ったりみたいな。
宮脇:そうかも。よく来る人は来るし。銭湯というのは確かに当たっているかもしれませんね。最初は会員制にしようかとも思ったんですけど、まぁそこはやらなくて良かったなと思っています。
ーー 飛び込みではどんな人が来るんですか?
宮脇:サラリーマンの人も来ますし、1人でフラッと来たり。あとはこのビルの中で他のお店にいた方が、「次のお店はどこがいいですか?」と店主に勧めてもらったとやってくる人もいます。
スナックはSEO対策されていないフロンティア
ーー 全体的にはカルチャー的なものに興味があるとか、宮脇さんがやっているお店だから来るっていうような人が多いですか?
宮脇:そういう人も来ますけど、本当にバラバラですね。「ネットの記事を見ました」とか、あとはネットで「五反田 スナック」で検索すると上位に出るので。
とはいえ特別なことは全然していなくて、そもそもスナックというキーワードはSEO対策されていないんですよ(笑)。
※編集注:この取材の終了直後、本当に「客層が年上すぎないスナックをスマホで検索したら、ここが最初に出てきたんだよね」という40代ぐらいの広告代理店の方とそのクライアントさんが来店していました。
ーー 確かに検索したら店単位では1位ですね。というか他のお店はホームページもFacebookページもない。スナックという大陸にとってデジタル領域はこれから発展する可能性が高いですね。ところで、ママとかチーママは宮脇さんが選んでいるんですか?
宮脇:ノオトが主催している「#ライター交流会」でスナック構想を発表し、ママを募集したら「私やります」と来てくれたので、即採用でした。
ーー ママにもお話を聞かせてもらっていいですか? ママ歴はどのくらいですか?
ママ(サエコ):ここのオープンが初めてなので1年半ちょっとです。
ママのサエコさん。イケメン化した実在の文豪が登場するソーシャルゲーム『文豪とアルケミスト』を激しく薦められました。
ーー スナック勤務は初めてだったんですか?
サエママ:はい。私は本業がウェブなどで記事を書くライターなんです。過去にカフェやレストランで働いたことはあったんですけど、スナックは初めてですね。
ーー スナックのママとして普段どういったコミュニケーションを心掛けていますか?
サエママ:最初こそ受け入れてもらわなきゃいけないと思っていたので、「普通に礼儀正しく」を心掛けていたつもりだったんですけど、「それだけなのも何か違うな」と思ってきてからはわりとこんな感じでフランクにお話しさせていただいています。でも失礼だけはないように必ず敬語を使うようにしていますね。
ーー でも「フランクなコミュニケーションをしたいからスナックに行く」っていうお客さんも多いんじゃないですか? 基本的に「構ってほしいから行く」っていうのもありますよね。
サエママ:どうなんだろう。話しかけると明らかに「ここに地雷があるから気をつけなきゃ」と感じる場合もありますから。
写真中央はこの日が初めての勤務だったという三浦純菜(あつな)さん。普段は美容とアロマを専門としたライター、アロマテラピーインストラクターとしても活動。ブルーノート東京でバーテンダーとして働いた経験もあるそう。
ーー それはどういうことですか?
サエママ:「この人はフランクに接しすぎると暴走しちゃうかもしれない」とかですかね。
ーー それは酒癖が悪いお客さんとか?
サエママ:他のお客さんに失礼な絡み方をしちゃったりとか、自制が効かない人とかですね。例えば、プロの写真家に向かって「俺はカメラ歴何年で」みたいな演説を始めちゃう人も中にはいるので、そういう人には気をつけて「ほどよく」って感じですね。
ーー なるほどね。ところで宮脇さん「スナック研究会」、略してスナケンはご存知ですか?
宮脇:首都大学東京の谷口功一教授がやられている会ですよね。僕は旧都立大出身なんで一度会ってみたいなって思っているんですけど。
ーー 今度、対談してほしいですね。ママは、あまりスナックブームを感じていらっしゃらない?
サエママ:というよりも、ここは“いわゆるスナック”ではないと思っているので。カラオケもないし接客しているのは私たちみたいな人なので、ブームに乗っかっているという自覚はないです。どんなきっかけでも、来てくださるのはすごく嬉しいですけど。
ーー ママやチーママの働く環境について考えていることはありますか?
宮脇:彼女たちは昼間ライターという本業があるので、常に「働いている人の環境を良くする」「働きやすくて楽しめる」ということを心がけていますね。今ママとチーママだけで9人いて、曜日交代制です。
最低2人を配置して、僕もなるべく来るようにしているので安全面はキチッとしています。防犯カメラもありますし、ここは飲食街なので危ないことがあったらブザーも押せますし。そこは他の店と考え方が違うかもしれない。
ーー スナックで防犯カメラとかブザーとかなかなかないですよね。
宮脇:そうですね。もちろん気合の入ったベテランママご自身が防犯装置になっているケースもあると思うんですけど(笑)。その道何十年のベテランとかね。
宮脇氏が考えるスナック・コミュニティ運営論
ーー ところで、バーとスナックの違いって考えたことはありますか?
宮脇:それは考えました。バーよりもスナックのほうが肩肘張らなくていいかなっていう感じですかね。
ーー でも、定義として明確な違いはないじゃないですか。
宮脇:はい。法律的にはここもバーなんです、名称の違いだけ。何となくスナックのほうが肩肘張らない親しみがあるような気がしています。バーテンダーさんは基本的にサービスがものすごく丁寧ですよね。
ただ、だからと言ってママやチーママの接客が荒い、素人ってことではなくて、ママやチーママなりのプロフェッショナル性もあると思うんです。
ーー それって何でしょうね。「親しみやすさ」にまつわるプロフェッショナル性なんじゃないかと僕は思うんですけど。
宮脇:良い意味でたまにお節介なことをするとかですよね。例えば、男性の中にはどうしてもセクハラ発言をする人もいるんですよ。そうするとちゃんと怒ってくれたりもする。
サエママ:ここは下ネタ禁止なので(笑)。
ーー 普通に口説かれるってこともあるんじゃないですか?
チーママ:それもけっこう守られているなと感じます。常連さんしかり宮脇さんしかり、常にどなたかに。
ーー 「今度飲みに行こうよ」とか言われませんか?
サエママ:その時は「行きましょう」とか言うけど(笑)。下ネタで「付き合ってよ」というのには嫌だって言います。
ーー 「ご飯一緒に行こうよ」は?
サエママ:美味しいものだったら考えますけどね(笑)。
ーー そのくらいのコミュニケーションなんでしょうね。そのくらいのラフさ、ゆるさなんでしょうね。
サエママ:私は二次元が好きで、そういう意味では男性に対してあまりなびかないと自負しているんです(笑)。
宮脇:それ、お客さんにも公言してるしね。
サエママ:そういう話ができる環境にしていきたいので。
ーー じゃあ、同じように二次元が好きな男性が来たらどうします?
サエママ:「同じ趣味の方」っていうだけで別に好きにはならないです。
ーー スナックに来る人は3Dですもんね(笑)。
本業にも役立つスナック経営
ーー 1年半やってみて、このお店の経営的な部分はどうですか。利益も出ている状態ですか?
宮脇:おかげさまで黒字経営ができています。
ーー 上手く回していくために工夫されてきたことはありますか?
宮脇:一番大きいのは、最初から固定費を抑えていることです。基本中の基本ですけど、家賃と人件費以外はそんなにかかっていませんから。
ーー このビル自体の賃料が安いんですか?
宮脇:比較的安いと思います。そこは重要です。あとはコストを抑えるために調理が必要なフードは提供していません。代わりに近くの別のお店から出前をとるというようにしています。
マージンをもらったりはしないので、他のお店からは「いつも助かっているよ」と喜ばれています。「お互い様ですから」という感じで関係性を作っているのも、続けるという意味では重要ですね。
ーー このお店をやっていることで宮脇さん個人であったり、ノオトという会社にとって良かったことは何ですか?
宮脇:編プロでこんなことをやっているところはないと思うので、そういう意味では新しい企画力とか実行力がついたということですかね。アイデア自体は誰でも思いつくんですけど、ちゃんとやりきるのが大切だと思うので、そこに関しては本業へのプラスは大きいと思います。
ーー 本業へのプラスとは、具体的にどういうことですか?
宮脇:例えばこの取材の前の日もそうだったんですけど、クライアントを連れてきています。そこで仕事の話も含めて密に会話をしました。
うちの編集者4人とクライアントが2人だったんですけど、普通だったら会議室でしか会話しないところを「この後うちの店に飲みに行きましょう」と言ったら「ぜひ行きたいです!」と言ってくれて。そんな機会はたぶん他の会社ではないですよね。
ーー オフィス内にカフェやバースペースを置くケースはありますけど、外部のお店ってまず他にはないじゃないですか。クライアントの観点でも、居心地の良さは全然違うでしょうね。
宮脇:そういう意味では“体験”の域に達してもらえているかなって感じがしますね。
ーー いわゆる接待とはまたちょっと違いますよね。
宮脇:仕事を受注するうえに、ここでの飲み食いのお金を割り勘にしてもらうこともありますし(笑)。
ーー 接待とは違うかたちで、クライアントや取材先とコミュニケーションを深めていくプレイスとしてのスナックの力強さがあるんでしょうね。
宮脇:あると思いますね。まぁ、おかげさまで、外で飲み会がある日以外は、毎晩ここで飲んでしまっていて、健康診断的にもやばいなという感じなんですけど(笑)。
スナック文化は輸出可能か
ーー ところで、スタバやブルーボトルコーヒーのサードプレイスとか、コワーキングみたいなライフスタイルがアメリカからやってきたみたいな、いわゆる“洋モノ”の文化があるじゃないですか。だけどスナックは日本が生んだ文化で、他の国にはないということが面白いなと思っていて。
宮脇:そうですね、海外に進出したら面白いかもしれないですね。
ーー 近いのはアジアの屋台文化かもしれませんけど、あそこにはママとかはいないでしょうからね。
宮脇:あまり外国の事情には詳しくないんですけど、常連さんで他のスナックにもよく行っている人がいて、今はメキシコに単身赴任してるんですよ。で、その人がメキシコには飲み歩く場所がないから「メキシコでスナックやったら絶対儲かると思う」って言っていて。
日本人の駐在員が多いのに全然飲む場所がないらしいんです。おそらくそういうところにこの店があったりすると日本人が集まると思いますけどね。たまに地元の人と連れて行ったりして、カラオケがあればウケるかもしれないし。
ーー 僕、ニューヨークでキャバクラに行ったことがありますよ。
宮脇:キャバクラがあるんですか?
ーー 要はニューヨークの駐在員向けのキャバクラなんですよ。友人の家に泊まっていたんですが、たまたま彼がバイトで現地のキャバクラのボーイをやっていたんです。
で、どんな店なんだろうと興味本位で行ってみたんですが、女の子は日本人の語学留学生がほとんど。編集者だから、例えば「札幌から来てお金もなくて英語もあまり上手くならなくて」という愚痴をいちいち聞いちゃうわけですよ。「なんで俺、お金払って人の愚痴聞いてるんだ、それもニューヨークで」みたいな気持ちになりましたよ(笑)。
宮脇:新鮮な経験で思い出したんですけど、コワーキングスナックではボトルキープが初めてという人が圧倒的に多くて面白いんです。
ーー なるほど。ボトルキープという文化も日本だけじゃないですかね。
宮脇:海外にはないかもしれませんね。
ーー ボトルキープの文化がいいですよね。自分の足跡を残して去るみたいな気がして親しみを感じさせるというか。そういうホーム感があるんでしょうね、名前入りで並んでいたりすると。
宮脇:そうですね。ここもボトルキープのお酒がかなり増えました。ありがたい限りですね。
ーー 日本が誇る夜の文化としてのスナックみたいな。スナック2.0みたいなコワーキングスナックですよね。今日はありがとうございました。