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お金は大事!最低賃金をたった1ドル引き上げるだけで自殺率が最大6%も低下すると米国大学の研究で明らかに
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  • 2020.01.21
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お金は大事!最低賃金をたった1ドル引き上げるだけで自殺率が最大6%も低下すると米国大学の研究で明らかに

Photo by Shutterstock

文:chopsticks

お金で幸せを買うことはできない。そう考える人は少なくないだろう。

しかし、少しでも多くのお金を手に入れることができれば、人々が自殺を選ぶ可能性は低くなるようだ。

最低賃金を1ドル上げたら何が起こる?

米国エモリー大学の研究者たちは、最低賃金を引き上げると何が起こるかを確かめるべく、1990年から2016年までの26年間の最低賃金と自殺率のデータの分析を行った。

その結果、最低賃金をわずか1ドル引き上げるだけで、失業、経済的困窮、借金などの経済的ストレスによって引き起こされる18歳から64歳の成人の自殺が3.4%から5.9に%減少していたことが判明したという。

同研究者たちは2020年1月、疫学・公衆衛生を網羅する国際誌『ジャーナル・オブ・エビデミオロジー・アンド・コミュニティー・ヘルス』にて、研究結果の発表を行った。

最低賃金の引き上げが精神衛生に大きな影響を与える可能性

この研究結果は、最低賃金の引き上げが精神衛生を良くしてくれることを示す重要な証拠であるとして多くの人々の注目を集めている。

しかし、それよりも以前から、最低賃金の引上げが精神衛生に良い影響を与える可能性があると考えられ、研究が積み重ねられてきたことを忘れてはならない。

2019年4月、全米経済研究所は、最低賃金と勤労所得税の控除率が10%上昇すれば、年間約1230人の自殺を防ぐことができるという論文を発表していた。また、2019年に医学誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・プリベンティブ・メディシン』に掲載された研究でも、10年間の1ドルの賃金上昇の結果、自殺率が低下することが突き止められている。

これらの研究結果について、米国ペンシルバニア大学ペレルマン医科大学の医療倫理と健康政策の助教であるアテンダル・ベンカタラマニ氏は「このような研究は、最低賃金と自殺率の明確な因果関係を証明できていません。しかし、経済状況と精神衛生との関連についてははっきりと示しています」と『CNN』の取材に答えている。

また、同氏は『CNN』に対し、「これらの研究に基づく最低賃金の引き上げは実現しないだろうが、精神衛生が悪化する負担を考慮して最低賃金の引き上げを議論する必要がある」とも語っている。

うつ病をはじめとする精神疾患に悩まされる人が増加していると言われている日本でも、同氏の言葉どおり、最低賃金の引き上げについて議論をする余地があるだろう。

最低賃金を上げれば誰もが幸せになるわけではない?

最低賃金を上げることで得られる恩恵は精神衛生の向上に止まらない。2018年に発表された研究によれば、最低賃金が1ドル上昇すると、心臓病による死亡者が毎年10万人当たり6人減少するという。最低賃金の上昇は、人々の心と身体の両方に良い影響を与える可能性が高いようである。

ところが、誰もが平等に、最低賃金の上昇による恩恵を受けられるわけではないという。2018年のまた別の研究によると、最低賃金の引き上げによって果物や野菜の摂取量が減少し、肥満のリスクが高まったそうだ。

そして、この健康状態の低下は高齢の白人に多く見られたという。しかし、他の人口統計学的グループ、特に非白人女性には、最低賃金引き上げによる健康上の利益を認められたそうだ。

最低賃金の引き上げは裕福な人にはマイナスの効果を与えてしまう可能性が否めないが、やはり、経済的にゆとりがない人には心身ともに良い影響を与えてくれるようである。わずかな賃金アップで労働者の精神および身体の健康、ひいては命を守ることができるのであれば、その出費も必要経費と割り切れはしないだろうか。


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