CULTURE | 2024/09/23

「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」が発表!
第1位は『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
谷口菜津子が受賞

「CREA」 2024年秋号において、第3回となる 「CREA夜ふかしマンガ大賞」 を発表

FINDERS編集部

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「らしさって何?」 現代的なテーマの物語を明るく描いた意欲作 

総合電子書籍ストア 「ブックライブ」 のデータによれば、マンガ作品の書籍購入が一番多い時間帯は22時以降、ピークは深夜0時。マンガは電子書籍で読むということがあたり前になりつつある今、仕事に子育てに忙しい大人世代の女性においても、夜の貴重なひとり時間にスマートフォンやタブレットでマンガに没頭するという現象が起きている。

そこで眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のある作品を称える 「CREA夜ふかしマンガ大賞」 が2022年秋に誕生、今年第3回が開催された。

各界を代表するマンガ好きが選考委員を務める

選考委員には、各界を代表するマンガ好き31名。彩瀬まる(作家)、犬山紙子(イラストエッセイスト)、宇垣美里(フリーアナウンサー・俳優)、江上敬子(お笑い芸人・ニッチェ)、コナリミサト(マンガ家)、近藤くみこ(お笑い芸人・ニッチェ)、佐久間宣行(テレビプロデューサー)、澤部渡(ミュージシャン)、新川帆立(小説家)、つづ井(マンガ家)、鶴谷香央理(マンガ家)、深緑野分(小説家) をはじめ、ベテラン書店員やマンガ研究家、専門ライターが参加。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定した。

※2023年7月~24年6月に単行本の新刊が発売された (ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。

「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」 選考委員

第1位に輝いた谷口菜津子の「じゃあ、あんたが作ってみろよ」

第3回の大賞受賞作は、谷口菜津子の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(ぶんか社) に決定。「男らしさ」「女らしさ」 という言葉さえとっくにアウトな現代でも、それにこだわる人は絶滅していないのが現状。本作の主人公・勝男も見た目とキャリアこそハイスペックでも中身はバリバリの 「昭和男」 だ。

自分は台所に立たないくせに、恋人・鮎美の手料理に上から目線でアドバイスする始末。完璧人生まっしぐらのつもりだったが、なんと鮎美にプロポーズをスパッと断られ――と、痛快なイントロでスタートする・・・いい意味で予想を裏切ってくれる作品だ。

悲嘆にくれる勝男は料理に挑戦。その難しさを知り、恋人に見放された自分から 「変わりたい」 と涙をこぼす。一方の鮎美も 「男に愛される女らしさ」 を目指してきたため 「自分の“好き”がわからない」 女性。気付きを得た彼女もまた 「変わる」 にチャレンジしていく。

現代的なテーマの物語を明るく描いた意欲作に、読者と選考委員からの圧倒的な支持が集まった。

作者の谷口菜津子は、神奈川県出身。Web、情報誌、コミック誌等で活動。『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)、『今夜すきやきだよ』(新潮社) では、多様性を柔らかな筆致で描いたことに対し、第26回手塚治虫文化賞新生賞を受賞している。

第1位受賞を記念した谷口菜津子による描き下しイラスト ©谷口菜津子

◆選考委員のコメント

「自分が食べたいものを自分で作るって究極のセルフケアのひとつなのかも」
フリーアナウンサー・俳優 宇垣美里

「この作品を読んで『人って気付けば変われるのかも!?︎』と思えてきました」
ブックライブ書店員 書店員すず木

「ジェンダーと言葉にしづらいあれこれがチャーミングに描かれていて最高」
ライター 井口啓子

「毎度のことながら谷口作品なのでごはんがめちゃくちゃおいしそうです」
イラストエッセイスト 犬山紙子

「『ざまぁ!』からの『このカップルどうなるの!?️』という楽しみもあって良いです」
ジュンク堂書店池袋本店コミック担当 八木泉

「まさか男性側を応援することになるとは……」
お笑い芸人 江上敬子(ニッチェ)


◆谷口菜津子 受賞コメント

「この度は、このような賞をありがとうございます。最近、ちょうどマンガっていろんな種類があるところがいいと思っていたんです。部数が多かったり、みんなに人気だからその作品が面白い、というだけではなく、ぜんぜん売れていないけれど、ある人だけに刺さるようないいマンガもたくさんある。この賞もただ人気なものをランキングする、ではなく、選考委員の方々が丁寧に考えて、「いま本当にこの作品を読者に届けたい」という気持ちで発信してくださっている。こういう賞がたくさんあったらいいなと思います。

私のマンガも、特に自分の『絶対的にこれが言いたい』というものがあるのではなく、作品を読んで、読者の方に意見を出し合ってもらえたら……と思って描いています。第1位をいただけることで、そういう人たちがもっと増えるのかなと思い、そこがすごく嬉しいと感じています」

「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」授賞式での谷口菜津子。写真=平松市聖

CREA夜ふかしマンガ大賞 結果発表・詳細はこちら
https://crea.bunshun.jp/list/manga_gp2024?utm_source=crea&utm_medium=direct&utm_campaign=topbnr