3億7,000万件のクチコミから見えた、野沢温泉村7年連続選出の理由
人口約3,000人の温泉村が、世界中の旅行者から「日本で最も居心地の良い都市」として7年連続で選ばれ続けている。デジタルトラベルプラットフォームのBooking.comは、世界中から寄せられる3億7,000万件を超えるクチコミをもとに、卓越したホスピタリティを提供する宿泊施設やレンタカー会社などのパートナーを表彰する「Traveller Review Awards」を毎年実施しており、この受賞データから算出される「日本で最も居心地の良い都市」10選に、長野県野沢温泉村が2020年の初選出以来、2026年まで7年連続で選ばれた。
これを記念し、2026年8月18日(火)、野沢温泉村役場にて表彰式が開催された。式にはブッキング・ドットコム日本代表のルイス・ロドリゲス氏のほか、野沢温泉村の上野雄大村長、野沢温泉マウンテンリゾート観光局代表理事の竹井勝氏、旅館さかや代表取締役社長の森晃氏が登壇し、受賞の背景にある「人の温かさ」と「村の暮らしに根ざした観光」について語った。
ロドリゲス氏は、野沢温泉村を訪れた際、宿の周辺を歩いていると見知らぬ家族からバーベキューに誘われた経験を紹介し、「旅行者をまるで地域コミュニティの一員のように温かく迎え入れてくれる、そんな村の人々の温かさこそが、野沢温泉村が世界の旅行者から選ばれ続ける最大の理由だ」と語った。
「いらっしゃいませ」ではなく「お帰りなさい」。村ぐるみで育んできたもてなしの文化
上野雄大村長は、今回の受賞を「約3,000人の村民一人ひとりが評価された賞」と位置づける。野沢温泉村は観光のためにつくられたリゾートではなく、訪れた人が村民のライフスタイルに入り込み、暮らしの一員になったような感覚を味わえる場所だという。村が目指しているのは観光客数を増やすことではなく、観光を通じて村民の暮らしそのものが豊かになる持続可能な地域づくりである。
野沢温泉マウンテンリゾート観光局代表理事の竹井勝氏は、村の宿では客を「いらっしゃいませ」ではなく「お帰りなさい」と迎えるのが定番だと明かす。我が家に帰ってきたかのように過ごしてもらうという精神こそが、旅行者の感じる「居心地の良さ」につながっているという。
2006年からいち早くインバウンド誘致に取り組んできた旅館さかや代表取締役社長の森晃氏は、村に13ある共同浴場(外湯)に触れ、村民が守り継いできた湯を旅行者が「借りる」という独自の感覚があると語る。パウダースノーや温泉といった他地域と共通の魅力ではなく、こうした土地固有の暮らしに触れる体験こそが、旅行者の心に残る深い体験を生んでいるという。
「ゴールデンルート」の外へ。世界が注目し始めた、地方の日常に溶け込む旅
2026年の「日本で最も居心地の良い都市」10選には、野沢温泉村のほか、高山市(岐阜県)、奄美市(鹿児島県)、由布市(大分県)、屋久島(鹿児島県)、読谷村(沖縄県)、富士吉田市(山梨県)、北谷町(沖縄県)、富士河口湖町(山梨県)、ニセコ町(北海道)が選ばれた。屋久島や奄美市、由布市は昨年に続いての選出であり、地方の温泉地や自然豊かな地域への関心が世界的に高まっていることがうかがえる。
東京・大阪・京都といった、いわゆる「ゴールデンルート」だけでなく、その土地ならではの暮らしや文化に触れられる地方エリアへと旅行者の関心が広がる中、人口約3,000人の山あいの温泉村が7年連続で選ばれ続けているという事実は、地域の日常に入り込む旅を求める世界的な潮流を象徴している。
観光地としてつくられた場所ではなく、暮らしがそのまま残る場所だからこそ生まれる居心地の良さは、旅先に癒やしだけでなく人とのつながりを求める旅行者にとって大きな価値になっている。次の旅先を選ぶ際には、こうした地域に根ざした温かさを一つの基準にしてみるのも良いだろう。
Traveller Review Awards 2026(受賞部門:日本で最も居心地の良い都市 10選)
主催:Booking.com Japan K.K.
選出基準:宿泊施設は2025年11月30日23:59(中央ヨーロッパ標準時)時点で、3件以上のクチコミに基づく平均クチコミスコアが8.0点以上(10点満点)であること
対象クチコミ数:世界中から寄せられた3億7,000万件超
表彰式:2026年8月18日(火)、野沢温泉村役場にて開催
公式サイト
https://news.booking.com/ja