EVENT | 2019/09/06

「トンガった」企画をヒットさせるエッジとポップのバランスとは? 『BACKSTAGE 2019』レポート

文:岩見旦 写真:赤井大祐
SNSのトレンドワードに入り、ネット上の話題を独占する斬新な企画。多くの人を熱狂させ、時に...

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文:岩見旦 写真:赤井大祐

SNSのトレンドワードに入り、ネット上の話題を独占する斬新な企画。多くの人を熱狂させ、時に流行となる。このような新たな企画の元となるアイデアや発想は、どのようなメカニズムで生み出されるのだろうか?

8月29日、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された体験型マーケティングのカンファレンス「BACKSTAGE 2019」では、そんな疑問に答えるべくセッション「トンガリカルテット〜攻めた企画で生きていくあの手この手〜」が行われた。

登壇したのは、「トンガッた」企画に定評のある3人。企画屋の堀元見氏、デイリーポータルZ 編集長の林雄司氏、株式会社人間の花岡氏が、企画におけるエッジとポップのバランスについて議論を交わした。モデレーターは、お笑いコンビ「オシエルズ」メンバーの矢島伸男氏が務めた。

下手に出る重要性

「良いこと言ったら即退場!性格悪い人限定飲み会」「プレゼン×合コン」などのイベントを開催してきた堀元氏は、下手に出ることの重要さを強調。昨年、「旅人コミュニティVS旅人コミュニティ嫌い」というイベントを開催した際、旅人コミュニティが嫌いな堀元氏は“正しい”と思う強者のスタンスで挑んだため、反感を買ってしまったという。「僕がひどい目に遭うとか、弱者のポジションから行った方がいいなと思う」と堀元氏。

堀元見氏

「誕生日会だろうがハロウィンだろうが、ベースのものを見て湧いたちょっとした不満や、僕は楽しめないな、ここをもうちょっと変えたいなと思った部分から着想する」と、アイデアの生み出し方を明かした。

うまい人がいない世界にしたい

「ペリーがパワポで提案書を持ってきたら」「ハトが選んだ生命保険に入る」などの人気記事を執筆し、近年大きな話題となった「地味ハロウィン」を手掛けた林氏は、次のように企画の源泉を述べた。

林雄司氏

林:ハロウィンも、楽しそうだから混ざりたいんですよ。でも怖いじゃないですか。お化け屋敷も苦手だし、脱出ゲームは解けない。世の中のゲームは難しすぎる。もっとやさしいもの、うまい人がいない世界にしないと思って。

溝を飛び越えられなかった人だけの運動会や、90点以上出したら出ていくカラオケボックスなどを提案する林氏。昨年の「地味ハロウィン」では、あまりに大量の人が来すぎて、会場に入れなかった人がホールや階段に溢れたが、地味であるがゆえ、通りすがりの人と分からなくなったという失敗談も告白。また、地元で「地味ハロウィン」を開催してもいいかと問い合わせが来るが、自由に開催していいと発表した。

ギリギリアウトをギリギリセーフにする技術

一方、「ブラック企業体験イベント『THE BLACK HOLIDAY』」などを手掛けた花岡氏は、2人とはまた異なる目線で企画を考案。「ポップとエッジのバランスをいかに取るかということを意識している」と話し、誰でも分かりやすい、かつ社会的にまずいテーマで話題性を担保しつつ、その土台の上でエッジを効かせてコンセプトを作っているとのこと。

花岡氏

社会的にいじったらダメなギリギリを攻めていると花岡氏。ともすれば炎上しかねない企画であるため、有識者を置いたり付随するデータを載せることでエビデンスやロジックを補完。企画に社会的意義を持たせ、ギリギリアウトをギリギリセーフにしていると明かした。

「トンガった」企画を立て世間を驚かせたい時、この3人のアドバイスをヒントにしてほしい。