文:岩見旦
マウンテンゴリラやカバなど、多彩な動物たちが棲み豊かな自然が広がっている、アフリカ中部コンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園。ここで撮影された自撮り写真が世界各国から熱視線を集めている。
「ゴリラから漂う仲間感」2万シェアで笑顔に
18日、密猟と戦う国立公園職員が自撮り写真をFacebookに投稿した。そこには2匹のマウンテンゴリラが背筋をピンと伸ばし、まるで人間のように立っていた。
ゴリラらしからぬポーズを決める姿が話題となり、この投稿は瞬く間に拡散。現在2万を超えるシェアを記録し、「美しく心のこもった写真をありがとう」「ただただ素晴らしい写真だ」などと世界中の人を驚嘆させた。日本国内でも大きな注目を集めており、「絶対に中に人が入っている」「着ぐるみかと思った」「ゴリラから漂う仲間感」といったコメントが寄せられた。
さらにゴリラと国立公園職員との自撮りはFacebookにたくさん投稿されており、ゴリラの人なつこい一面が見られる。
内戦の最中に撮影された心温まる写真
これらのFacebookの投稿からは、マウンテンゴリラと国立公園職員との信頼関係が伺える。その理由はこの国立公園ならではの事情があるのかもしれない。
実は隣国のルワンダで内戦が勃発しており、このヴィルンガ国立公園は治安状態が非常に悪化している。この一帯は、外務省による海外安全情報で4段階のうち最も高いレベル4に指定され、退避勧告が出ている。
公式サイトによると、この国立公園ではゴリラを含めた絶滅危惧種を、密猟などの武力勢力から守るため600人以上が従事しており、常に生命を危険に晒しているという。国立公園職員になるに当たり半年間に及ぶ広範囲のハードなトレーニングを経験するものの、これまで170人以上が殺害されている厳しい状況だ。彼らはみんな地元のコンゴの街や村の出身とのこと。
ゴリラとの仲睦まじい時間は、そんな苦境の中で与えられた、つかの間の休息だったようだ。