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ピエール瀧容疑者逮捕で、過熱する薬物報道。患者の足を引っ張る薬物報道に疑問の声
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  • 2019.03.13
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ピエール瀧容疑者逮捕で、過熱する薬物報道。患者の足を引っ張る薬物報道に疑問の声

文:岩見旦

コカインを使用したとして、ミュージシャンのピエール瀧容疑者が12日夜、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された。有名芸能人の薬物による逮捕ということもあり、朝からマスメディアによる報道がエスカレートしている。

しかし、その中には薬物依存への偏見や誤解を助長させているものも少なくない。さらには、違法薬物への興味を煽ることになっているものもある。

市民グループが「薬物報道ガイドライン」を発表

薬物報道に関する問題意識から2017年、市民団体や研究者などに結成された「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」が「薬物報道ガイドライン」を発表した。このガイドラインは評論家の荻上チキさんと議論を重ね、WHOの「自殺報道ガイドライン」を参考に制作された。

ガイドラインには「望ましいこと」として8項目、「避けるべきこと」として9項目が挙げられている。「『白い粉』や『注射器』といったイメージカットを用いないこと」と、薬物報道で定番のイメージカットも避けるべきとしている。

同ネットワーク発起人の国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦さんは、TBSラジオ「Session-22」で、このイメージカットについて「依存症の人はそれを目にすると、欲求を刺激される。だから、著名人が逮捕されて報道が激化するたびに、患者さんたちが再び薬物を使用してしまうことが続発している。回復しようと頑張っている人の足を、報道が引っ張っているのではないか」と語っている。

「薬物報道ガイドライン」の全文はこちら

【望ましいこと】
・薬物依存症の当事者、治療中の患者、支援者およびその家族や子供などが、報道から強い影響を受けることを意識すること

・依存症については、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること

・相談窓口を紹介し、警察や病院以外の「出口」が複数あることを伝えること

・友人・知人・家族がまず専門機関に相談することが重要であることを強調すること

・「犯罪からの更生」という文脈だけでなく、「病気からの回復」という文脈で取り扱うこと

・薬物依存症に詳しい専門家の意見を取り上げること

・依存症の危険性、および回復という道を伝えるため、回復した当事者の発言を紹介すること

・依存症の背景には、貧困や虐待など、社会的な問題が根深く関わっていることを伝えること

【避けるべきこと】
・「白い粉」や「注射器」といったイメージカットを用いないこと

・薬物への興味を煽る結果になるような報道を行わないこと

・「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと

・薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと

・逮捕された著名人が薬物依存に陥った理由を憶測し、転落や堕落の結果薬物を使用したという取り上げ方をしないこと

・「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと

・ヘリを飛ばして車を追う、家族を追いまわす、回復途上にある当事者を隠し撮りするなどの過剰報道を行わないこと

・「薬物使用疑惑」をスクープとして取り扱わないこと

・家族の支えで回復するかのような、美談に仕立て上げないこと

また本日、荻上チキさんは「さらに付言するとしたら」として、下記の3項目をツイートしている。

・容疑段階でのリアクションは慎重であること(容疑段階で仕事を奪うことなど)

・治療につながるパスを作ること(をもって「生きてるうちに治療ににつながれてよかった」と喜ばしく受け止められる環境をつくること)

・「ネタ」にすることで偏見を助長しないこと

「薬物報道ガイドライン」を守らないワイドショー

今回のピエール瀧容疑者の逮捕を受けて、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」、TBS「ひるおび」、フジテレビ「バイキング」、テレビ朝日「ワイド!スクランブル」といったワイドショーの報道を筆者はチェックした。しかし、このガイドラインは守られていない。

マスコミによるセンセーショナルな薬物報道を、私たちは監視していかなければならない。一方、私たちもTwitterやFacebookなど、薬物依存で苦しんでいる人も目にするツールを持っている。SNSに薬物に関する投稿をする際は、このガイドラインを頭の片隅に置いておいてほしい。


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