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「通信障害でケータイ通じない」の悲劇はどう回避すればいい?2台持ち以外の方法はないのか
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  • 2018.12.12
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「通信障害でケータイ通じない」の悲劇はどう回避すればいい?2台持ち以外の方法はないのか

エリクソン社の発表した「ソフトバンクの障害情報に関するお知らせ」

伊藤僑

Free-lance Writer / Editor 

IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。

通信障害の原因はパケット交換機のソフトウェア

12月6日13時39分頃に発生したソフトバンク携帯電話サービスの大規模障害は、東京・名古屋・大阪といった大都市圏を含む日本全国におよび、深刻な社会的混乱を招いた。同障害による影響は、ソフトバンク回線をリセールしているY!mobile、LINEモバイル、日本通信、ケイオプティコムなどの通信事業者にも拡大している。

今回のトラブルが極めて深刻だったのは、通信障害の範囲が携帯電話の通話サービス、データ通信サービスの両方におよんでおり、緊急通報すらできなかった点にある。このようなトラブルが、広域地震などの甚大な災害時に、全通信事業者のサービスで発生することを考えると恐ろしくなる。

筆者がメインで使用するiPhoneもソフトバンク回線なので、障害が発生した当初は何が起こったか分からずに困惑したが、ほかにもiijmioや日本通信のsim(ドコモ回線)を入れたスマホや、ガラホ(ドコモ回線)をいつも持ち歩いているので、あまり影響を受けることはなかった。ソフトバンクのiPhoneは仕事用の電話を受けるのにも使っているが、最近ではメールやSNSでの連絡が大半を占めるので滅多にかかって来ることはないことも幸いした。

ソフトバンクの発表によれば、全国をカバーする東京センター、大阪センターに配置してあるエリクソン社製パケット交換機のソフトウェアに異常が発生したことが障害の原因だという。

エリクソン社も、コアネットワーク内にある「SGSN-MME(Serving GPRS Support Node-Mobility Management Entity)」にデジタル証明書の期限切れ問題が生じたことで障害が発生したことを発表。ソフトバンクのほか、英国やベトナムなどの通信事業者11社でも同様の障害が発生したとされる。

通信障害で露呈した携帯回線への依存度の高さ

今回の事例は、大規模な通信障害が発生した時のリスク管理を再考すべき時期が来ていることを、私たちに教えてくれた。

「救急車を呼べない」、「待ち合わせした友人とLINEが繋がらなくて会えない」、「モバイルSuicaへの入金や指定席予約ができない」、「スマホを使った飛行機の搭乗券確認ができない」、「コンサート入場時のQRコードを使った個人認証ができない」……等々。テレビのニュース番組では、ソフトバンクユーザーが携帯回線を利用できなくなって途方に暮れている姿を日本中から紹介していた。

被害を被ったのは個人ばかりではない。

ソフトバンク回線をドライバーの業務用端末、携帯電話で利用していた佐川急便では、再配達が出来なくなるなどの影響があった。航空会社のジェットスタージャパンでも、搭乗券の確認を行っていた端末がソフトバンク回線を利用していたため使用できず、一部の便に遅延が生じている。

そのほかにも、電子決済系サービス、金融サービス、カーシェアリングサービス、ネットワークゲームなど、多くの事業者が少なからぬ影響を受けたようだ。

日本の社会全体が、いかに通信手段としての携帯電話回線に依存しているかが、今回の障害で浮き彫りになった。

通信障害時に威力を発揮する新サービスも登場

では、個人や企業が、このような通信障害に備えるにはどうしたらよいだろうか。

すぐに思い浮かぶのは、いわゆる「2台持ち」だろう。利用する通信回線の異なる通信事業者の端末を2台以上持ち歩けば、今回と同様のトラブルに関しては対処できる。

筆者も、その方法で難を逃れたクチだが、同じ2台持ちでも、違う通信事業者の端末を使うと料金がかさむ、通信容量も別々に管理しなければならないなど、デメリットもある。

「複数の通信回線を1契約で利用できるようなサービスがあればいいのに」と思っていたら、なんと12月7日に、「複数の通信キャリアに対応した通信障害に強い、国内・海外データプラン」の発表がMAYA SYSTEMからあった。このサービスに利用されるjetfonは、「クラウドSIMテクノロジー」を搭載し、SIMカード不要で世界につながる日本初のスマートフォンとされる。

その技術の要となる「クラウドSIMテクノロジー」とは、本体の位置情報を基に、クラウド上の世界各国のSIM情報の中から最適なSIMを読み込むことでデータ通信を可能にする技術であるという。使用端末毎にSIMを挿入する必要がなくなるというから驚きだ。

jetfonを紹介するウェブページ。

従来は海外旅行者などを想定し、1日、7日、30日とスポット的に利用できるプランを提供していたが、新たに発表された法人向けの「複数の通信キャリアに対応した通信障害に強い、国内・海外データプラン」では、月額費用980円(国内5GBプラン、海外1GBプラン)からと、日常利用を想定したサービス内容になっており、サービス開始は12月中を予定している。この価格帯なら、法人だけでなく個人向けサービスがあっても良さそうだ。

このほか、険しい山岳地帯や孤島など、携帯電話の電波が入らないような場所に出かけることが好きなら衛星携帯電話を利用してもいい。端末の小型化が進んでおり、運用コストも下がってきている。

端末間通信用アプリも通信障害時に使えそう

今回の通信障害に直面し、久しぶりに思い出した技術がある。それは、携帯通信網を利用することなく、端末間で通信を行う技術だ。山遊びの折などに、スマホ用のアプリを使用していたことを思い出す。

今でこそ、山の中でも携帯電話を利用できる場所が増えたが、以前は山に入ると電波が届かなくなることが多かったため、連絡用に端末間通信用のアプリを利用していたのだ。そこで、今も利用できるiPhone用アプリはあるのかと探してみると、「FireChat」(Android用もある)が見つかった。

FireChatはインターネット接続なしで端末間のメッセージ交換を行うことができるアプリだ。暗号化通信を行っているので通信内容を傍受される危険性も低い。また類似アプリにAirTarkiOSのみ)もある。

その仕組みは、70m(200フィート)以内にある端末同士を数珠つなぎにしてネットワークを構築するというもの。送信者と受信者が70m以上離れている場合でも、70m圏内にFireChatをインストールしている別のユーザーがいれば、そのユーザーのネット接続を利用してメッセージを届けることができる。

2014年に香港で行われた反政府デモや、2015年にインド北西部のカシミール地方を襲った大洪水などでも、FireChatは利用されている。SXSWのような大規模なイベントでも人気が高く、頻繁に利用されているという。

多くの利用者がいれば、通信障害時にも威力を発揮しそうだ。無料なので、スマホにインストールしておいてはどうだろうか。


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