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映像業界の「人材育成」を変えるスタートアップ企業。映像クリエイターに向けたティップス紹介からキャリア支援まで行う「Vook」
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  • 2022.03.18
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映像業界の「人材育成」を変えるスタートアップ企業。映像クリエイターに向けたティップス紹介からキャリア支援まで行う「Vook」

文:赤井大祐(FINDERS編集部)

毎週だいたい1社ずつ、気になるスタートアップ企業や、そのサービスをザクッと紹介していく「スタートアップ・ディグ」

第15回は映像制作にまつわる学習Tipsの提供を中心に、映像クリエイターに向けた総合的な支援を行う「株式会社Vook(ヴック)」について紹介する。

株式会社Vook
2012年1月創業
調達総額約3億円

あらゆる角度から映像クリエイターを支援

YouTube、TikTokをはじめとした動画投稿サイトやそれに付随する動画広告など、ウェブ映像メディア全盛の現代。

NTTドコモ モバイル社会研究所が国内の15歳から79歳を対象に行った調査によると、10代から30代男女のYouTube利用率はそれぞれ75%から85%と非常に高い水準となっており(15歳未満を含めればさらに増えるだろう)、最も利用率が低かった女性70代でも42.2%を記録している。利用者数の合計はおよそ6500万人とも言われており、これは主要ウェブサービスの中でもLINEに次ぐものである。

「ユーチューバー」といえばユースカルチャー的な側面が強いものの、実際のところ年齢、国籍問わずあらゆる人々が日々動画鑑賞をしているわけだが、我々が観賞する動画には当然「作る人」が存在する。

気まぐれにiPhoneで撮影しただけでも動画制作を完結できる時代ではあるが、一方である程度のクオリティやオリジナリティを求めていくと、自ずと作業量や工夫の数は膨大なものになっていく。

さらに「Adobe Premiere Pro」や「DaVinci Resolve」といったアマチュアからプロまで広く使用される動画編集ソフトは多機能かつ複雑であり、初見で使いこなせるという人はまずいない。基本的な使用方法から調べ始めるとキリがなく、ここで挫折してしまうという人もいるだろう。

Vook社が2016年にスタートした「Vook」は、映像制作にまつわるさまざまな知識やTipsを紹介するサービスだ。特定のサービスや分野を体系的に説明する「記事」、プロフェッショナルの生の声を聞く「ウェビナー」、実際に使い方など動画によって細かく参照できる「チュートリアル」と、コンテンツごとに最適な形式を用いている。

例えば「記事」カテゴリーでは撮影、編集、カラーグレーディング(色味の補正作業)といった作業ごとの紹介のほか、先述したAdobe Premiere Proなど各種ソフトごとの使用方法やTipsを体系的に紹介している。

ある特定の機能や技術に関する情報をピンポイントで得たいのであれば、それこそYouTube上に無数に存在する解説動画を観るのが近道かも知れない。しかし、「編集」「撮影」といったより大きなカテゴリーや、ソフトウェアそのものへの理解を深めたいということであれば、Vookの提供するコンテンツは助けになってくれることだろう。

さらに2021年11月には、カリキュラムを通して映像制作の勉強を行う「Vook School」を開校。今年3月3日には、みずほキャピタル株式会社、フィンテックグローバル株式会社ほか個人投資家から2億円の資金調達を実施し、Vook School内にてメタバース、CG、アニメ−ションコースの開講を予定しているとのことだ。

そしてこれらのサービスを通じて「時代に即した映像クリエイター」を生み出すためのエコシステムを実現していくとしている。

業界全体の底上げにつながるか

Vookでは制作の支援だけでなく、映像人材に特化した人材紹介サービス「Vookキャリア」も展開。映像業界に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けながら仕事を探すことができる。また人材を探す企業としてもより専門性を理解したスタッフを通じてリクルートを行うことができるため、ミスマッチを減らしていけるということだ。

「人材」といえば「IT業界は2030年に最大で79万人もの人材不足が起こる」という経産省による発表も記憶に新しいが、言うまでもなくこれはIT業界に限った話ではない。映像業界は年々その市場規模を拡大しているものの、労働時間が長く激務というイメージも非常に強いため、制作会社は常に人材不足だということもよく耳にする話だ。

こうした現状に対するVookの取り組みは、映像制作を行う個人を支援すると同時に、業界の間口を広げながら人材育成を行い、さらに企業との適切なマッチングを行うことで、映像業界全体の底上げにつながるものではないかとも考えられる。

現在Vookを利用するユーザーは月間30万人にも達し、映像クリエイターからの信頼も厚い。人材不足によって企業の体力が落ちる中で、その時々に応じてフリーランスが集まり仕事を行う「ギルド型組織」などの発展を促し、より柔軟かつ効率的な働き方を実現する基礎となる可能性も秘めているかもしれない。


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