LIFE STYLE | 2020/03/12

2度も親に捨てられた13歳少年を養子に迎えた男性、実は虐待を苦に家から逃げ出した過去があった

文:chopsticks
暴力を受けて育った親が我が子に手をかけることを「虐待の連鎖」と呼ばれるが、その一方で「救いの...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

文:chopsticks

暴力を受けて育った親が我が子に手をかけることを「虐待の連鎖」と呼ばれるが、その一方で「救いの連鎖」があることも忘れないでいてほしいもの。

そして今、そんな「救いの連鎖」の物語がSNS上で拡散し、人々の感動を呼んでいる。

病院の前に置き去りにされた少年

アメリカに住む13歳の少年トニー・ムタバジ君は悲しい過去を持っている。トニー君は2歳のときに実の両親から手放され、その後、里親制度を利用していた。そして、4歳のときにオクラホマ州に住む夫婦に養子として迎えられ、念願の新しい家族を手に入れた。

ところが、トニー君のささやかな幸せは、ある日突然壊れてしまう。なんと、トニー君が11歳になったとき、養父母がトニー君を病院に置き去りにし、そのまま戻って来なかったのだ。

2018年11月、トニー君を保護した「エンジェルス・フォスター・ファミリー・ネットワーク」は、貧しい地域に住む子どもたちの支援をしている非営利団体「ワールド・ビジョン・アメリカ」で働くピーター・ムタバジさんに連絡を入れた。ピーターさんはかわいそうな少年のために涙を流し、トニー君を快く受け入れた。

元々2日間自宅に泊める予定だったが、ピーターさんはトニー君と共に過ごすうちに、養子として迎え入れ、本当の家族になりたいと願うようになった。

本当の親子になった2人

なぜ、トニー君を養子にしたいという感情がわき起こったのか? それは、ピーターさんもまた、悲しい過去を持つ少年だったからだろう。

ウガンダで育ったピーターさんは、10歳のときに虐待のあった家から逃げ出した。その後、里親となる家族に迎え入れられたが、そこは「地球上で最も貧しい環境」だったという。その後、アメリカに移住し市民権を得るという波乱万丈の半生を贈ってきたのだ。

昨年11月、無事シャーロット裁判所に認められ、トニー君を正式に養子として迎え入れられたピーターさんは『GoodMorningAmerica』の取材に対し、「誰かが私のためにしてくれたことを、私もまた、誰かのためにしたかったのです」と答えている。

独身男性であるピーターさんがトニー君を養子に迎えるための手助けをした「エンジェルス・フォスター・ファミリー・ネットワーク」のケアワーカー、ウォードさんも「ピーターさんとトニー君の物語は本当に美しく、驚くべきものです。ピーターさんに悲しい過去を塗りつぶしてくれるほど優しい家族に出会えたという経験があったからこそ、ピーターさんとトニー君との間に強い絆が生まれたのでしょう」と語っている。

今では、本物の親子として、映画を見たり、ボードゲームをしたりするのを楽しんでいるというピーターさんとトニー君。きっと、将来、トニー君もピーターさんと同じように「救いの連鎖」を紡いでいってくれることだろう。