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新時代のメディア「BIGLOBE style」がついに始動! 「イノベーションミーティング2020」レポート
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  • 2020.02.27
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新時代のメディア「BIGLOBE style」がついに始動! 「イノベーションミーティング2020」レポート

2月13日、渋谷のユーロスペースでBIGLOBEのメディア「BIGLOBE style」のローンチ記念イベントが開催された。

当日は、同メディアのテーマである“イノベーション”や“新しい働き方”とリンクしたさまざまなゲストが角界から招かれた。

登壇したのは、ミュージシャンや作曲家としてのみならず、MC、執筆業などでFINDERSの連載でもおなじみの西寺郷太氏。さらに、気鋭の法律家・水野祐氏、リーマントラベラー東松寛文氏、日中の若年層マーケティングを手がける陳暁夏代氏、漫画家・クリエイターエージェンシー「コルク」編集者の仲山優姫氏の5人。

当日繰り広げられた、興味深いトークの内容を抜粋の上、お伝えしたい。

取材・文・構成:庄司真美 写真:織田桂子

2010年以降、トレンドの広がりは世界でシームレス化

司会の中井圭氏による各ゲストの紹介の後、最初のテーマ「イノベーションを加速するキーワード」について口火を切ったのは、西寺郷太氏。先祖返り的に価値が高まるのは、今アメリカでも投資が集まりつつあるPodcast関連では?という持論を展開した。

司会を務めたのは、映画解説者の中井圭氏。

「ここ10年はYouTubeをはじめとするビジュアルの時代。でも実は、映像に目が奪われることで失われる動作があるのでは? そこで再注目されるのが、好きな時間に同時にほかのことをしながら聞けるPodcastが熱いのではないでしょうか」(西寺氏)

ミュージシャン、作詞家、作家の西寺郷太氏。

陳暁夏代氏は、日中でヒップホップカルチャーが同じように流行るなど、今は海外と日本のトレンドがシームレスになっているとした上で、「国境とトレンドの関係性」を挙げた。

「先日開催されたアカデミー賞授賞式も世界同時に配信され、そこから派生した二次情報によってさまざまなトレンドやビジネスにつながる流れがある。特に太いコンテンツに関しては国境にトレンドがなくなっていると感じます」(陳暁氏)

日本と中国を拠点に若年層マーケティングやブランディングを手がける陳暁夏代氏。

一方、会社に勤務しながら週末にエクストリーム旅行を続ける“リーマントラベラー”らしい見地を述べたのは、東松寛文氏。

「6年間で54か国111都市を旅する中で、数年前、社会主義国のキューバに行きましたが、まだ古き良き街並みが残っていました。一方、それ以外の国のトレンドは大体同じ。当時、キューバにはWi-Fiがあまり普及してなくて情報が遮断されていましたが、近年は普及し始めて、街並みも変わりつつあるようです」(東松氏)

リーマントラベラー東松寛文氏。

グローバル向けコンテンツの制作は「公開」「非公開」の設定から

また、人気漫画『宇宙兄弟』のプロモーションを担当する仲山優姫氏は、情報化社会ならではの戦略について言及。

「講談社は意図的に『宇宙兄弟』を世界同時販売しています。その点、SNSだと言葉の壁があるので、漫画のようなストーリー性があるものを同時に共有するのは難しい。そのため現在注力しているのは、縦スクロールで構成された漫画を描ける新人を育てる取り組みです」(仲山氏)

漫画家・クリエイターエージェンシー「コルク」編集者の仲山優姫氏。

それに対し、中国のマーケティングに詳しい陳暁氏、著作権や版権に知見のある弁護士の水野祐氏が見解を示した。

陳暁:約10年前の中国では、漫画の新刊が出ると、違法の翻訳版がその15〜30分後にはネットでアップされていました。肌感覚だと、ようやく日本の漫画などの版権侵害の対策がされ始めたのはここ2年くらい。一方で違法アップロード版が蔓延したおかげで、中国やアジアなどで広く日本の漫画のファンが増えた側面もあります。

水野:海賊版の効用として、効率のいい宣伝道具になっていたと僕も考えています。そうした時代を経て近年、権利強化がなされる中で、正規のお金を払ってコンテンツを買う中国企業が増えています。

ITやクリエイティブ、街作りの分野で活躍する弁護士・水野祐氏。

陳暁:韓国のKポップの音源も中国で無料開放したおかげでファンがついた経緯があります。2010年以降、どのコンテンツも「公開」「非公開」を決めるところから制作がスタートするようになりました。意図的に完全に閉ざされたコンテンツもあれば、たとえばワンオクロックのライブでは、スマホ撮影OKにするなど、制作側の意図やプロモーションがトータルで問われています。

新しい発想には自由に使える「コンテンツ費」導入のすすめ

「イノベーションを加速するキーワード」として、仲山氏がレコメンドしたのは、コンテンツ費。クリエイターエージェンシー「コルク」では、企画立案やアイデアのソースとして使える月額一定のコンテンツ費が認められていると言う。

以下、トークが盛り上がりを見せた。

仲山:コルクは社員20人程度のベンチャーですが、コンテンツ費として月額3万円を月自由に使えます。これは、作家の側で働く者にとって、とてもいい制度。現状だと旅行やサブスクの利用はダメですが、説明の仕様によってはOKになるかもしれません。

水野:コンテンツ費というのは初めて聞きました。僕の場合、コンテンツの仕事をしているので、映画も美術館も経費になります。

陳暁:私も経費計上するといっても、結局は自営だから持ち出しです。一般的にはエンタメにふれることへのハードルとしてお金は大きいんだなと感じます。

仲山:大きいと思います。たとえば漫画読者の場合、月収の1%なら簡単に使って下さいますが、3%を超えると要検討になると言われていて、当たり前のようにエンタメにお金を使う社会ではないという認識です。

東松:やはり、自分が知っているもの以外に投資するのは難しい。だから僕は旅行にしかお金を使いません。その点、会社から支給のコンテンツ費があれば、知らない領域にチャレンジする機会が持てるので、会社員としては嬉しいですね。

こらからのインバウンドの行方は?

一方、東松氏の「イノベーションを加速するキーワード」への答えは、オーバーツーリズム。現在、「観光立国」を目指す日本に欠けている視点について意見を述べた。

「観光地の京都では、ホテルの建設ラッシュが続いていますが、外国人が溢れ返る現状を問題視し、ようやく京都の文化を守らないと建設できない規制が設けられました。一方、デンマークでは観光の考え方が進んでいて、新しい観光施設を作るときに観光客だけでなく、住民も使えるようなサステイナブルツーリズムが基本。中にはボランティアをしないと観光できないエリアも。今こそ、日本の真のおもてなしのあり方について考えるべき」(東松)

カルチャーとビジネスの相性

話は観光から一転。クリエイティブやアート思考などがビジネス界でも注目される今、自身の活動や経験をもとに、「カルチャーとビジネスの融合は難しい」と明かしたのは、陳暁氏。

陳暁:廃墟や寺、森などで音楽や瞑想イベントを開催するほか、古くからあるダンスホールなどでライブを企画していますが、実はすべて自腹だからこそ好き勝手できています(笑)。ところが、それが仕事になるとだんだん商業的になってくるのです。今はタイアップだとしても商業臭を消す傾向にある中で、カルチャーとビジネスの境目がなくなってきていると実感しています。

西寺:僕の場合、プロデューサーやレコードメーカーから仕事の依頼がある時、テーマが提示される時と、すべてお任せでのオーダーの時がありますが、後者の方がうまくいくケースが多いです。だから僕がミュージシャンに依頼する場合も、その人にお任せするようにしています。

陳暁:上がってきたものが自分の思ったものとは違った場合はどうしてますか?

西寺:まったく知らない人に声をかけているわけではないので、あまりミスったことはないですね。ビートたけしさんがよく言っていたのは、自分が監督の時は言うことを聞いてもらうけど、自分が演者として呼ばれた場合は、多少違うと思っても、演出家や監督の言う通りにやるスタンス。それと同じで、逆にほかのアーティストのアルバム制作にお声がけいただいた時は、現場でオーダー通りに歌うなど、仕事によって線引きしています。

地方とカルチャーのつながり

また、西寺氏は地方での新たなコンテンツのあり方として、自身が企画する、カフェを会場に弾き語りを披露する「カフェライブ」をトークテーマに挙げた。

西寺:盛岡や仙台、八戸、松江、広島といった地方のカフェというニッチな場でやる50〜100人の小規模なライブなのですが、発売と同時に気持ちよくチケットが完売します。お客さんが集まる理由は、僕らの音楽だけでなく、いつもはSNSなどでつながっている同じ趣向の仲間が集まる場としても喜ばれている気がします。

仲山:ここ数年、『宇宙兄弟』公式の新刊イベントとしてファンを集めて読書会を開催しています。ひたすら漫画のよさを語り合う場なのですが、場所代や交通費を担保するのが難しいので、公共の図書館と連携して開催していて、今度は佐賀でやる予定です。

中井:ニューヨーク公共図書館などはライブラリーの枠を超えた場所として知られています。地方の図書館の活用法としても面白いですね。

「BIGLOBE style」が発信するコンテンツは?

第2部のテーマ「時代が求めるイノベーションと働き方の未来」に移行し、登場したのは「BIGLOBE style」編集長の桑原春代氏。イベントの趣旨とリンクした同メディアのビジョンやテーマについて語った。

「BIGLOBE style」編集長の桑原春代氏。

『BIGLOBE style』は、これからの時代に向けて新しい働き方、イノベーションをテーマに情報発信するメディアです。実は、一般のメディアとは違って社員を中心に記事展開しているため、ライターやカメラマンがいません。社員自らライティングから撮影まで担当しています。弊社に多く在籍するエンジニアの取り組みについても、テックブログとして展開中です」(桑原氏)

さっそく中井氏から、働き方改革について意見を求められたのは、広告代理店に勤務して10年目の東松氏。

「働き方改革は、休ませることに主眼が置かれすぎていて、いざ休みを与えられても、『何するの?』という人も多いと思うんです。僕が推奨したいのは、「働かせ方改革」であり、「休み方改革」。僕の場合、週末だけで海外旅行に行きまくることを考えると、金曜は絶対に仕事を終わらせなければと仕事に対して主体的になれました。そして旅行でインプットして帰国し、月曜から気持ちよく仕事に臨めます。結果、生き方も変わりました。休みを与えられたその先の個人がどんな人生を行きたいのか?ということが重要だと思います」(東松)

これを皮切りに、巷にはびこる間違った方向の「働き方改革」について、トークが弾むことに。

水野:会社に所属することで、自分の好きなことを覆い隠していたり、会社に飼い慣らされすぎたりしているのかもしれませんね(笑)。

桑原:働き方改革は確かに国や会社が主導ですが、会社が働きやすい環境を整えて、「働きやすさ」がみんなに浸透したら、次は自分をいかにデザインし、自分改革するフェイズになっていくのでは?

水野:確かにそうですね。東松さんの場合、トラベル関連の仕事のオファーも増えていると思いますが、なぜ会社員を辞めないのですか?

東松:僕はこれまで会社員として働くスタイルしか知らず、海外に出たことでそれ以外の選択肢を教えてもらいました。会社員でいることで、かつての僕のように、「気づけない人」に伝えたいと思ったんです。

陳暁:自分の好きなものを見つけられない根本原因は、日本の教育にあると思います。思考が閉ざされているから、大人になって急に専門分野を見つけにくい。だからわざわざ安定した歯車から外れて好きなことしたいという人の方が少ないんですよね。

仲山:それこそ、子どもたちにコンテンツ費をあげたらいいですよね(笑)。でも悲しいことに今は、学業が忙しすぎて漫画を読む暇もない子どもが多いと聞きます。

西寺:日曜公開のWeb記事の連載があったのですが、入稿後に修正を依頼したら、担当編集者から「土日に仕事したらいけないと会社から固く言われているから対応できない」と言うのです。こっちだって息子のサッカーを観ながら連絡してるんですよ(笑)。対応できないなら、日曜の公開はやめろと思いましたね。

陳暁:結局、仕組みの話だけになり、本質とずれた仕組みが残ってるんですよね。詰まるところ、好きな仕事をしてるのか、やらされて仕事をしているかということが大きい。組織では、人員配置がかならずしも適材適所ではないし、スキルの差があって、非効率なスタイルの組織が多い印象です。

東松:会社組織は、基本的にできない人に合わせるカルチャー。現状の働き方改革だと、休みたくても休めない弱者が中心になっていて、働きたい人、やりたいことがある人を支援する制度がないのが問題

また、働き方改革の先にイノベーションが起こすために必要なことについて、説得力ある意見を述べたのは、陳暁氏。

イノベーションに必要なのは、受容性。新しい概念、知らない価値観、仕組みがどんどん増えてくるこれからの時代、一回ジャンプしてみたり、ドアを閉じすぎたりしないことが新しい出会いにつながるのでは?」(陳暁)


2000年代、2010年代を経て令和となり、今年東京で開催される五輪を機に新時代へと突入した観のある2020年。

最後に「BIGLOBE style」編集長の桑原春代氏は、「5Gの普及や東京オリンピック・パラリンピック2020が開催される今年はビッグウェーブ。新メディアの始動にはいいタイミングであり、波に乗りたい」とビジョンを述べ、盛況のうちにイベントは閉幕となった。


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