文:武者良太
新しい撮り方と出会える撮影レシピがいっぱい
近年、売れる製品の特徴の1つに「メルカリで売却しやすい」というものがあるそうだ。必要な瞬間だけ保有できていればいい。これはシェアリング文化と合致するもので、合理的な判断といえよう。
しかし「中古で買えばいい」ではメーカーの利益に繋がりにくい。普段から自分たちの製品を、そしてライバル製品を使い続けてもらい、市場規模を維持するためには何が必要なのか。その答えの1つとなりそうなのが、キヤノンが運営する「fotomoti」だ。
「fotomoti」は、自分で撮影した写真と撮影時のデータ、撮り方をレシピとして公開できるコミュニティ。使用しているカメラやレンズ、レンズの焦点距離、構図のとりかた、ピント・ボケなどの狙い、後加工や撮影時の工夫など、ポイントごとにコメントを書き込める。
カメラマンとしては自分のこだわり撮影ポイントを的確に言語化できるし、読者側としても自分の知りたい撮影テクニックを着実に学ぶことができる。「fotomoti」を見ているだけで、スマートフォンではなく一眼デジカメを使って撮影したい、というモチベーションが高まってくるし、SNSで映える写真撮影にチャレンジしたいという欲も湧いてくる。
またフォトQ&Aコーナーでは、どんなレンズを購入すればいいのかといった話題から、おすすめの撮影スポットを聞いたり、エモい写真の撮り方Q&Aなど、撮影時の疑問を投げかけると誰かが教えてくれるサイクルができている。
「fotomoti」から見えてくるのは、モノを作って売るだけの時代から、メーカーが自らコミュニティを作り、製品購入後のユーザーも楽しませていく時代への変化。この流れは、他の趣味的製品市場においても増えていくのかもしれない。