文:仲田拓也
いつどんな事故に巻き込まれるかは誰にもわからないもの。特に、自分の状態を上手く説明できないハンディキャップを抱えた子どもたちの場合には、適切な医療を受けるのが難しいこともある。
そんな子どもたちを守るため、ある母親が生み出した発明品が世界から注目されている。
人工内耳を装用したままMRI検査を行うと危険
オーストラリア・ビクトリア州に住む11歳のシェイちゃんは、耳が不自由だ。母親のナタリー・ベルさんはそんなシェイちゃんのことを心配し、「私は耳が聞こえません。人工内耳を装用しています。MRIは使えません」というメッセージを載せた、カラフルなシートベルトカバーを制作した。
人工内耳とは耳の奥に埋め込む小型の装置で、補聴器では十分に補えない聴覚障害者でも聴こえを獲得することができる唯一の方法と言われている。
しかし、人工内耳を装用したままMRI検査を受けた場合、強力な磁場の影響によって、金属が加熱、機械が破損したり、装用している周囲の部分を傷付けてしまうことがある。そのため、人工内耳を装用している人は、MRI検査を行う場合、事前のケアを行うことが欠かせない。
にも関わらず、もし突然の事故で、意識不明になった場合など、医師に人工内耳の存在を伝える方法がない。それを解決するのが、このシートベルトカバーだ。
昨年6月、ベルさんがこのシートベルトカバーをFacebookで紹介したところ、20万件の「いいね!」と75万件のシェアが寄せられ、大きな評判を得た。