CULTURE | 2020/07/29

バカッターから迷惑系YouTuberへ。ネットに生息する「バカ」はどのように進化したのか【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(14)

へずまりゅうTwitterよりキャプチャ
過去の連載はこちら

中川淳一郎
ウェブ編集者、PRプランナー
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ネット誹謗中傷へ著名人が訴訟、相次ぐ

Photo By Shutterstock

なんというか、SNSの発展は良い面もあったが、結局一般人にとってはハイリスクほぼノーリターンなのである。バカッター騒動もそうだし、ちょっとしたつぶやきが名誉棄損になってしまうこともある。昨今、著名人が誹謗中傷をした人間を突き止めたうえで裁判を起こし勝訴する例が相次いでいる。「はるかぜちゃん」こと春名風花は誹謗中傷をした相手から示談金315万4000円を受け取ることとなった。

過去に横浜DeNAの井納翔一は「嫁がブス」とネット上に書いたOLを相手に200万円の請求をした。これは掲示板への書き込みだが、ネットに余計な投稿はしないが吉である。冒頭で登場した「へずまりゅう」は「迷惑系YouTuber」の呼び名通り、今回の逮捕とコロナ感染で見事なまでに全国的知名度を獲得し、釈放及び完治した場合はこれまでとはレベルの違う注目度を集めることになるだろう。

私は「炎上商法」には否定的ではあったが、バカッターやバカ動画をアップしてしまい、人生が毀損されてしまう事態に追い込まれたら、それをバネに炎上商法に手を出すひらきなおりをする者が出てくるようになるのでは。へずまりゅうがそれをやってのけた場合、日本も「再チャレンジを認める寛容な社会」になるのだろう(棒読み)。

さて、バカッターとして身元を晒されてしまった人々はその後どんな人生を送っているのだろうか。大抵はアカウントを削除し、逃走しているが、あの時の炎上体験を常に思い返し、まっとうな大人になっている、と信じたいものである。


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