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「GIFアニメが再注目されている」ってホントなの?日本のインターネット文化に根付くのか専門家に訊いてみた
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  • 2019.02.18
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「GIFアニメが再注目されている」ってホントなの?日本のインターネット文化に根付くのか専門家に訊いてみた

今回取材したGIFMAGAZINEで公開されている、ハリウッドザコシショウのGIFアニメ
https://gifmagazine.net/post_images/3245710

取材・文:6PAC

「GIFアニメが再注目されている」って本当?

ここ数年、「GIFアニメが再注目されている」というタイトルの日本語記事をインターネット上で見かけることが多い気がする。GIFアニメとは、ざっくり言えば「GIF(Graphics Interchange Format)」という画像ファイル形式を用いて、静止画をパラパラマンガのように動かして表示する表現形態だが、そういった記事の出所はおおむね企業のオウンドメディアや記事広告が多く、「GIFアニメをなんとかビジネスに活用したい」という本音が見え隠れする。

そんな企業の思惑とは裏腹に、日本語で情報発信されているSNS上ではあまりGIFアニメを見る機会は少ない。ましてや、動画を直接貼り付けることもできることもあって一般ユーザーが日常的にGIFアニメを活用している印象は皆無である。

一方、英語圏のツイッターを見ていると、確かにGIFアニメを目にする機会が非常に多い。ツイッターというのは基本的には文字情報のプラットフォームなので、タイムライン上には文字情報の“つぶやき”が羅列されるが、その中で自分の“つぶやき”を目立たせるためにはビジュアルで気を惹くのが有効だ。その結果、欧米のツイッター上にはGIFアニメが氾濫している。企業が広告やプロモーションの一環としてGIFアニメを使う例もあるが、やはり動画や静止画像の方がより一般的だ。だが一般ユーザーの間では自身の感情を伝えるための手段としてGIFアニメを使う例が圧倒的に多い。著名な俳優が出演している映画のワンシーンや、バラエティ番組の著名司会者の表情の変化などを切り取ったGIFアニメが普通に使われている。

インターネット文化の違いも当然関係しているのだろうと思うが、なぜこういった差が英語圏と日本語圏との間で出てくるのか、GIFアニメが一般ユーザーレベルで浸透していない背景には何があるのか、その辺りを知りたくなったので専門家に訊いてみた。筆者の疑問に回答してくれたのは、株式会社GIFMAGAZINEという会社の広告事業部事業部長という肩書きを持つ住田博人氏だ。

日本語は感情表現がしやすく、絵文字やスタンプ文化もあった

株式会社GIFMAGAZINE 広告事業部 / 経営企画部 事業部長(プロデューサー統括) 住田博人氏

同社は日本最大級のGIFプラットフォーム「GIFMAGAZINE」を運営しており、ここではさまざまなジャンルのGIFアニメの検索や作成・配布が可能だ。また企業のコンテンツマーケティング支援も手がけており、芸能人やアニメ、映画などのオフィシャルGIFアニメも多数アップしている。

そんなGIFMAGAZINEの住田氏にまず投げかけたのは、「アメリカではGIFアニメがツイッターなどのSNSでミーム(「わかる人にはわかるネタ」として広まるスラングや画像など)として、一種のコミュニケーションツール的に頻繁に使われ、話題のツイートなどで目にする機会が非常に多いのですが、日本ではそういったケースはかなり少ないように感じます。なぜでしょうか?」という質問。

これに対し、「あくまで仮説です」と前置きしながらも、同氏はわかりやすく解説してくれた。「日本語は “漢字”、“ひらがな”、“カタカナ”、ときに“ローマ字”、さらには“絵文字”を組み合わせることのできる言語で、堅い印象を表現できる“漢字”、やさしさを表現する“ひらがな”など、テキストでさまざまな感情表現がしやすいと考えます。GIFアニメのような動画に置き換えて感情表現するより早く手軽に行えるため、動画を用いたビジュアルコミュニケーションの必然性が外国語と比較し少なかった歴史があるためでは?と推測しています。ただし、これからの若年世代がより多用するのはテキストより動画となると予測し、必然性は高まると考えております」と、まずは、日本語の特性として感情表現がしやすいことがあると言う。

また、「絵文字やスタンプ文化が先行発展したため、GIFアニメのように映像を用いたコミュニケーションの普及が遅れていると推測しております。主要なソーシャルメディアでGIFを送ることができるようになったのもここ最近のことです」と、ビジュアルコミュニケーション文化の主流が絵文字やスタンプだからだとも言う。

「海外でGIFアニメのコンテンツを一般ユーザー向けに配布しているGIPHYやTenorの「GIF Keyboard」といったアプリには、日本の若者が使うようなGIFアニメが不足しているような印象を受けます。それゆえに、使いにくい、使いたいものがないという事態が起こり、GIFアニメが使われない」ことが、GIFアニメが日本でブレークしていない理由だとも語ってくれた。

日本でも欧米でもGIFアニメは、企業によるプロモーション利用と、一般ユーザーによるコミュニケーションツールとしての利用がメインだが、日本ではまだまだ企業がプロモーションとしてGIFアニメを活用するケースが多いそうだ。残念ながら、YouTubeにおけるピコ太郎のようなメガヒット作はまだないのが実情でもある。

ちなみに現在国内外のTwitterアカウントでGIFアニメが利用されている例はこんな感じだ。

GIFアニメ企業事例:アメリカのKFC

GIFアニメ一般ユーザー事例:アメリカでは時の人を使うパターンも多い、アメリカでブレイク中のこんまりさん

GIFアニメ企業事例:JAL

GIFアニメ一般ユーザー事例:日本人はアニメキャラクターを使うことが多い

GIFアニメの特徴は「超短尺」、「ワンメッセージ」、「ループ」

via GIFMAGAZINE

GIFMAGAZINEでアップされている『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』のGIFアニメ。「好き!」という感情を相手に伝えるために使えそうだ。

GIFアニメの特徴は「超短尺」、「ワンメッセージ」、「ループ」の3つ。平たく言えば、サクッと見れて、ストレスなく情報を把握することができ、なんだか楽しいという“ミニマムコンテンツ”という位置付けになる。ミニマムコンテンツという意味では、最近中高生を中心に流行しているTik TokもGIFアニメと同領域にあるが、GIFアニメが注目を浴びるために短い尺の中で行う工夫とはなにかと住田氏に訊ねてみた。すると、「インパクトが大事だと考えています。見た瞬間に、かわいい・おもしろいといった自分事化できるような絵面と、動物は本能的に動きを追う習性に従い、わかりやすい動きをつけること。そして、独特の映像体験に引き込み、何度も見ていたくなるような仕掛けを創ること」の2点を挙げてくれた。

ツイッターなどのSNS上ではなく、インターネット上の広告(特にスマホ)では、18禁マンガ広告やソーシャルゲーム広告以外でGIFアニメをあまり見かけない。静止画でもなく動画でもないGIFアニメをインターネット広告として活用することで、どの程度の費用対効果が期待できるのかと水を向けると、「視聴完了率が良く、ユーザーから高い反応を得られるという声が多い」そうだ。

最後に、日本でもGIFアニメが広告ツールとしてだけでなく、一般ユーザーレベルでも当り前の存在となるには何が必要か、現時点で表面化しているGIFアニメのクリエイティブ面とビジネス面での課題はどういったものがあるかを訊いてみた。

「次に必要なのは、圧倒的に心地良いユーザーエクスペリエンス(UX)だと考えます。例えばスタンプのようにとにかくストレスなくGIFアニメを送り、見ることができるユーザー体験です。その先に、一般ユーザーが気軽にGIFアニメを創りあえるソリューションができることで、新たなビジュアルコミュニケーションが芽生えると考えます」と、ユーザーにとってストレスのない環境と、楽しさや面白さを共有できる場が必要という答えが返ってきた。クリエイティブ面では、「絶対これがウケる、バズる、というような鉄板の型がまだなく試行錯誤」が続いていると言う。ビジネス面では、「広告主側が費用対効果をどう捉えるかがいずれ表面化してくるので、それとどう向き合うか」が課題だ。

スマ―トフォンの登場以降、より一層多忙な情報化社会となったことで、ユーザーの可処分時間の奪い合いという新たな競争が始まった。氾濫する情報に振り回されるユーザーにとっては、尺が短いコンテンツはウェルカムである。ユーザーの数十秒を狙ったコンテンツという企業側の視点から「GIFアニメが再注目されている」のは理解できるが、一般ユーザーがインターネット文化の一つとして、GIFアニメを当り前のように使いこなすようになる時代は果たしてくるのだろうか。


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