EVENT | 2018/11/14

ネットの無料サービスのデータが突然消える!?そろそろバックアップを取りつつ付き合い方を再考すべき時期が来ているのかもしれない

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日本でも多くの写真愛好家が利用している写真共有サービス「Flickr」が、無料サービスのダウング...

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日本でも多くの写真愛好家が利用している写真共有サービス「Flickr」が、無料サービスのダウングレードを含むサービス内容の大幅な変更を発表した。有料サービス「FlickrPro」にアップグレードすべきか、他サービスに移行すべきか、無料サービスを利用しているユーザーの間に動揺が拡がっている。

最近ではFlickr以外にも、有名な無料サービスの改変や終了が相次いで告知されている。対応を怠ると、大切なデータや業務・交流の履歴等を失ってしまう恐れもある。

そろそろ無料サービスとの付き合い方を再考すべき時期が来ているのかもしれない。

伊藤僑

Free-lance Writer / Editor 

IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。

超過分の写真データ削除まで、猶予期間は約3カ月

これまでは1TBだった「Flickr」の無料サービスの容量制限が、アップロード可能な写真・動画は1,000枚までと大幅に縮小されてしまった。

2019年の1月8日までに有料の「Flickr Pro」へ移行しないと、追加の写真アップロードはできなくなり、2月5日には1,000枚を超過した分の写真・動画は古いものから削除されてしまうという。

米YahooからFlickrを買収したSmugMugによると、これまでの広告主体だった収益構造を、ユーザーが契約期間に応じて料金を支払うサブスクリプション方式へと移行させることにより、広告主ではなく、ユーザーを満足させるためのサービスの提供に力を注ぎたいとしている。

具体的なサービス面の向上としては、YahooデータセンターからAWSへの移行による写真表示速度等の高速化や、コメント内スパムの除去などによるコミュニティの活性化、任意のメールアドレスによるログイン機能(Yahooアカウントは必要なくなる)などが告知されている。

マイナス面ばかりに目がいきがちだが、ユーザーにとって朗報となるサービス内容の改善も伝えられており、Flickrならではの愛好者が集うコミュニティの存在も捨てがたい。ここはじっくり利用形態について検討したいところだが、無料プランを使い続ける場合、超過分の写真データが削除されるまで、猶予期間はおよそ3カ月と長くはない。

有料サービスへの移行を行わないのであれば、速やかに写真・動画データのダウンロードを行っておきたい。さもないと、Flickrに保存されていた多くの写真が消去されてしまうことになる。

懸念されるのは、しばらくFlickrを使っていないユーザーへの告知が十分行われているかどうかだ。筆者もFlickrのアカウントを持っているものの、ここ2年ほどはまったく利用していなかった。「久しぶりにアクセスしてみたら、保存していたはずの大量の写真が、ほとんど消えていた」ということにもなりかねない。知人にFlickrユーザーがいたら、サービス変更について知らせておこう。

無料サービスとの付き合い方を再考すべき時期が来ている

最近ではFlickr以外にも、200万人以上が利用していた無料グループウェア「サイボウズ Live」(2019年4月15日で終了)、googleのコンシュマー向けSNSサービス「Google+」(2019年8月で終了)、国産の無料メールサービス「エキサイトメール」(2018年9月18日で終了)、400万人以上が利用する無料ホームページサービス「Yahoo!ジオシティーズ」(2019年3月末で終了)、ニンテンドースイッチのオンラインサービスの有料化(2018年9月19日)など、有名な無料サービスの終了や改変・有料化が相次いでいる。それらへの対応を怠ると、大切なデータや業務・交流の履歴などを失ってしまう恐れもある。

間もなくサービスが終了する「サイボウズ Live」と「Yahoo!ジオシティーズ」。

無料サービスが終了する背景としては、コミュニケーション・ツールなどにみられるサービス自体の、流行り廃りのほか、企業の収益構造の変化などが考えられる。

FacebookやInstagram、gmailなど、まだまだ無料サービスを提供する事業者は多く、そこから得られるデータの活用や広告収入から莫大な利益を得ていることから、当分の間はサービスが終了することはないだろうと考えがちだ。しかし、無料サービスの場合には、事業者側の都合で、突然サービス内容が変更されたり、終了する事態も想定しておいた方がいい。

特に、無料のサービスをビジネスへ活用をしている場合には、いざという時に備え、そのサービスの代替えとなるものについても検討しておきたい。サービスへの依存度が高ければ高いほど、それを失った時のダメージは大きくなってしまうからだ。

マンガ『鋼の錬金術師』で描かれる等価交換の法則ではないが、タダで得られるものなどこの世には無いと考えるべきだろう。無料で提供されるということは、金銭ではないなにかを、こちらから相手へ提供しているのだ。

この機会に、無料サービスとの付き合い方を再考してみてはいかがだろうか。


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