ITEM | 2021/08/23

【作例付きレビュー】一眼レフと比べたくなるモノクロモード。ライカ全面監修のプレミアムスマホ「Leitz Phone 1」


武者良太
1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、A...

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武者良太

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1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

“カメラらしさ”を大切にしたデザイン

長く身近にいてほしいし、世代が変わったとしてもカメラとして使い続けたい。そんなスマートフォンが「Leitz Phone 1」です。

カメラの世界ではハイブランドのライカが、全面的に監修したプレミアムなスマートフォン。ベースモデルはシャープのAQUOS R6で、2021年を代表するハイエンドモデルの1つです。もともとAQUOS R6はライカが全面監修したカメラを搭載しており、優れたクオリティの写真が撮影できるスマートフォン。さらに外装と中身のフォントなどのUI/UXに至るまでライカデザインとしたのがLeitz Phone 1です。

いままでライカはいくつもの企業とコラボをしてきました。フィルムカメラ・デジタルカメラの分野ではミノルタ、パナソニック、シグマといった名が並び、自社発売のカラフルなコラボモデルではポール・スミスや、俳優のダニエル・クレイグともタッグを組んできました。同業者・他業種とのスキルやタレント性を活かすことにも長けたライカが自ら送り出すスマートフォン。その実態はいかなるものでしょうか。

Leitz Phone 1を手に取ると、真っ先に目に入ってくるのが背面デザイン。アイコニックな背面は、一眼カメラのような意匠が施されています。その盛り上がった輪の中に入っているのは、フルサイズ換算19mm相当 f1.9のレンズと1インチという巨大なセンサー。「SUMMICRON F1.9/19 ASPH.」はライカならではのレンズ銘で、ライカを知る人に「おっ、これは」と思わせる仕掛けでもあります。

サイドエッジはカメラレンズのピントリングを思わせる刻みが入っています。手で触れると筐体の素材を感じ取れるようなこの刻みは、グリップ力の向上にも貢献しておりホールド性が抜群。構えるときも、シャッターを切るときも安定したホールディングで、フレーミングが自由自在です。

今までにも多くのプレミアムスマートフォンが市場に現れましたが、Leitz Phone 1の“カメラらしい”意匠は、操作性を高めることにもつながっており、これは触れて嬉しくなってくるポイントです。ぶっちゃけてしまうとゴミや皮脂が入り込みやすくて、既存のスマートフォンメーカーでは思いついても手がけないアプローチでしょう。でも汚れたら掃除すればいいだけのこと。むしろ日々のメンテナンスがLeitz Phone 1への愛情へと繋がる気がしてなりません。

なんとカメラアプリ内に「ブライトフレーム」を採用

カメラアプリを起動してみましょう。Leitz Phone 1の画角は1.0xが24mm相当、2.0xが48mm相当、そして0.7xが19mm相当となります。

センサーエリアをフルで使うモードが0.7xというのは今までにないスタイルです。起動時に表示される1.0xはクロップされたモードであり、本来の性能を活かしきれません。しかしそこにはライカの思想が伺えてくる。

M型ライカのレンジファインダーをのぞくと、常にファインダー内の画角は変わりません。しかし装着するレンズによっていろいろな大きさの白枠が見えます。この枠はブライトフレームと呼び、装着するレンズによって異なってくる撮影範囲を教えてくれるシステム。レンズを通した光景を目まで届ける一眼レフとは異なるポイントなのです。

画面内に映る4本の直線による枠がブライトフレーム

レンズが捉えた光をEVFに表示するライカQ2などの一体型デジタルカメラにも、このブライトフレームは採用されました。フルデジタルなカメラであってもクロップズームの利点を生かして、大いなる世界の一部を切り取って作品とすることを教えてくれるカメラに仕立てていたのです。

そしてLeitz Phone 1にもブライトフレームが採用されました。画面に表示される白いブライトフレームを実際のファインダーとしながら、写真に勤しむことが求められます。このライカのアイディンティティをスマートフォンというデバイスで再現するための大型センサーであり、19mmから24mmにクロップしてもライカが認める画質となっていることの証なのでしょう。

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