文:角谷剛
日本で某牛丼チェーンの「ワンオペ」が問題になったように、米国でもファストフードチェーンで働く店員らが過酷な労働環境下に置かれていることはよく知られている。
そうした状況にファストフードチェーンの従業員たちが取ったある行動が今、注目を集めている。
従業員の安全と健康を脅かした劣悪な労働環境
「私たちは全員辞めます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」 そんなメッセージがネブラスカ州リンカーン市にある大手ハンバーガーチェーン「バーガーキング」の看板の下に掲げられた。この店舗の店長だったレイチェル・フローレスさんと少なくとも6人の従業員が行ったという。7月10日に掲げられたこのメッセージは、SNSで瞬く間に拡散され、多くの人の目に晒されることになり、その後まもなく撤去された。
『TODAY』によると、レイチェルさんは昨年8月からこの店舗で働き始め、今年の1月には前店長が退職したことを受けて、早くも店長に昇格したという。だが、それからの約半年間は苦難の連続が待ち受けていた。スタッフの人数は常に不足し、店内の労働環境は悪化し続けたのだ。本来なら5~7人のスタッフを必要とする時間帯に2~3人しかいないこともあったのだ。
気温が35度くらいまで上がった猛暑の期間にキッチンの空調が故障し、その修理に3~4週間かかったことも。従業員の多くは体調を崩し、レイチェルさんも重度の脱水症状に陥った。
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