LIFE STYLE | 2021/07/02

ガンのmRNAワクチン、フェーズ2臨床試験に突入。新型コロナワクチン開発のビオンテック社が実施

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文:山田山太
ドイツのビオンテック社は、ファイザー社とともに新型コロナウ...

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文:山田山太

ドイツのビオンテック社は、ファイザー社とともに新型コロナウイルスの発症と重症化を防ぐmRNAワクチンの開発を行っている。そんなビオンテック社が次に目指しているのは、ガンのmRNAワクチンだ。

mRNAワクチンは、体内の特定のウイルスを攻撃する抗体を作るよう人体に指示を出すものだが、ビオンテック社はその技術を応用し、悪性腫瘍(ガン)に対する抗体を作るワクチンの開発を進めている。

今年3月に、ビオンテック社共同創業者にしてチーフメディカルオフィサーのオズレム・トゥレシ氏が、数年以内に開発すると明かしたことで、大きな話題を呼んだ。そんな全世界が期待するガンのmRNAワクチンに新たな進展があった。

「良好な結果」とトゥレシ氏も前向き

ビオンテック社は6月18日発表のリリースの中で、皮膚ガンの一つであるメラノーマを対象としたフェーズ2臨床試験を実施したと発表した。メラノーマ患者120人に、mRNAワクチン「BNT111」を投与。ガン治療で用いられている免疫チェックポイント阻害薬の「セミプリマブ」と併用し、全奏効率(効果のあった患者の割合)、治療期間、安全性を評価する。フェーズ1で有望な結果が出たことで、効果への期待が寄せられているという。

トゥレシ氏はリリースの中で、「ガンは現在起きているパンデミックよりも、さらに深刻な人類の脅威であることを忘れてはいけません」「このワクチンはすでに初期の臨床評価において、良好な安全性と有望な暫定的結果を示しています。今回のフェーズ2においてガン患者への治療が開始されたことで、mRNAワクチンの有効性を証明していくことへの自信につながりました」と、前向きな見解を示した。

次ページ:前立腺ガン、頭頸部ガンのmRNAワクチン開発も

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