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文:ヤジマミユキ
2020年が終わろうとしている一方で、いまだ収束しない新型コロナウイルスの感染拡大。菅首相は再度の緊急事態宣言の発令に否定的である一方、ヨーロッパ各国では春に続き、再びロックダウン(都市封鎖)の措置が取られている。
そのような状況の中、ロックダウンが子どものメンタルヘルスへ及ぼす影響について、深刻に受け止めるべき研究結果が、12月9日付の医学雑誌『Archives of Disease in Childhood』に発表された。
子どもの孤独がうつ病に影響
英国ケンブリッジ大学の医学研究審議会(MRC)の脳認知科学の研究チームは、8歳から12歳の子ども168人を対象に、イギリスのロックダウン前とロックダウン中に彼らの精神障害、不安、うつ病の症状の変化についての評価データを調査。
その結果、新型コロナウイルスによるロックダウンによって、子どものうつ病の割合が上昇していることが判明。これは、子どもの年齢、性別、家族の裕福さと無関係だった。一方、精神障害、不安は有意な変化が見られなかった。
この結果に、研究チームはさまざまな要因が考えられるが、「子どもの孤独」がうつ病と関連していることがわかったという。ロックダウンによって、友だちと遊んだり、外に出て楽しい活動をしたりという機会が奪われたことで、孤独感が助長されているのだと言える。
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