EVENT | 2018/06/27

近ごろ地震が多いけど、あなたのパソコンやスマホは地震対策していますか?


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6月18日午前7時58分に発生した大阪府北部を震源とする最大震度6...

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6月18日午前7時58分に発生した大阪府北部を震源とする最大震度6弱(マグニチュード6.1)の地震は、死者5名、負傷者約400名、住宅被害6000棟以上という深刻な被害をもたらした。その前日の17日にも、群馬県南部を震源とする最大震度5弱(マグニチュード4.6)という、やや大きめの地震が発生。千葉県周辺を震源とする地震も、このところ頻発している。

「最近、なんだか地震が多いな」と気にしている人も少なくないことだろう。

地震への備えというと、防災用品の準備や食糧・飲料水の備蓄、緊急時の避難場所の確認などがあるが、パソコンやスマホなどのIT機器についても気を配っておきたい。

文:伊藤僑

いつ起きてもおかしくない巨大地震

地震調査研究推進本部(※)地震調査委員会が発表した「全国地震動予測地図2017年版」には、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した図(左図)が記載されており、東海・東南海・南海地震や首都圏直下型地震などが発生する確率が極めて高いことが明らかにされている。今後30年間に、その値以上の揺れに見舞われる確率を示した図(右図)をみると、震度7クラスの地震発生が予測されている地域も各地に点在している。日本の主要都市の多くは、いつ巨大地震に襲われてもおかしくない状況にあるようだ。

私たちを脅かしているのは地震だけではない。噴火リスクが高いと言われる富士山や御嶽山のような火山や台風、水害などの被害も深刻化してきている。自然災害には、日頃から十分備えておきたいものだ。

(左図) 確率論的地震動予測地図(確率の分布)の例。今後30年間に、震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース・全地震)。(右図) 確率論的地震動予測地図(震度の分布)の例。今後30年間に、その値以上の揺れに見舞われる確率が3%となる震度(平均ケース・全地震)。

IT分野における自然災害対策というと、多くの人がイメージするのはディザスタリカバリ(disaster recovery)関連のソリューションだろう。

災害が発生してIT関連機器・施設が被災しても、遠隔地にデータのバックアップと業務を継続するための拠点をおくことで、システムのダウンタイムを最小限に抑え、早期復旧を可能にするディザスタリカバリ対策を導入する企業が増えている。

自然災害の多い日本の企業にとって、事業の継続性を確保するためのディザスタリカバリ対策は、いまや必須のものといってもいい。

(※)阪神・淡路大震災の経験を生かし、地震に関する調査研究の成果を社会に伝え、政府として一元的に推進するために作られた組織。

バックアップはランサムウェア対策にも有効

中堅以上の企業であれば、レベルの差こそあれ、なんらかのディザスタリカバリ対策に取り組んでいることだろう。しかし、小規模な企業や個人事業主の場合には、まったく手をつけていないところが多い。

働き方を見直そうという機運の高まりを受け、最近増えてきている副業を持つ人の場合も、会社まかせにはできないデータがあるはずだ。

そこで活用したいのがクラウドストレージだ。

必要な容量にもよるが、比較的廉価で利用でき、複数拠点によるデータのバックアップや耐震設備、電源の二重化など高度な障害対策を施しているサービスも多い。

クラウドストレージを利用したデータのバックアップは、パソコンやサーバ内のデータを利用者の許可なく暗号化して人質にとるランサムウェアにも有効な対策となる。同じバックアップでも、パソコンの外付けHDDなどを利用する場合には、パソコン内のデータと一緒に暗号化されてしまう恐れがあるからだ。

盗難に備えデータの暗号化や遠隔消去も

地震などの自然災害は、何の予兆も無く突然発生する場合が多い。

客先や喫茶店などで、パソコンやスマホを置いたまま、ちょっと席を外していたら地震が発生し、取りに戻ることができなくなってしまう。パソコンやスマホを置いてある自宅やオフィスが被災して、離れた場所に避難を余儀なくされる。そんな事態も考えられるだろう。

東日本大震災でも、被災した住宅や店舗、オフィスなどを狙った窃盗団による被害が数多く報告されている。パソコンやスマホは換金性も高いので、窃盗の対象になる危険性が高い。

このような事態に有効なのが、データの暗号化や遠隔消去の機能だ。

盗まれてしまったパソコンやスマホそのものは諦めるとしても、中に格納されている機密性の高いデータを読み取られてしまうことだけは避けたいもの。そこで、必ずログインパスワードを設定し、複数回パスワード入力に失敗したらデータを消去する設定や、HDD、SSDに格納されるデータの暗号化をしておきたい。

Windows 10 Proには、BitLockerという暗号化機能が搭載されているので、すでに利用されている方も多いのではないだろうか。BitLockerを有効にすると、HDDやSSDのドライブ全体を暗号化することができ、暗号化キーを持っていないと復号化することはできない。

Mac OS XにもFileVaultという暗号化機能が搭載されており、ユーザ単位でユーザフォルダを暗号化することができる。

標準搭載されている暗号化機能では不十分という方は、サードパーティが提供するフリーソフトや有料ソフトの中から、予算や自身の用途に応じて最適なものを選択すればいい。

ただし、暗号化機能を利用する際には、暗号化時に使用したパスワードや暗号化キーを絶対に無くしてはならない。さもないと、自分でも復号化できなくなってしまうからだ。

スマホの場合には、落としたり盗まれてしまった場合に備え、データを遠隔消去できる機能を提供しているので有効にしておこう。

大切なデータをバックアップしてあれば、これらのデータ消去機能も躊躇なく実行できる。