EVENT | 2020/03/11

「うちの国、いきなり覚醒した!?」と称賛の声多数。官民連携の新型コロナ関連支援まとめサイト「VS COVID-19 #民間支援情報ナビ」が公開

文:神保勇揮
国が取りまとめたデータを民間が活用。都道府県でも同様の動き
3月9日、新型コロナウイルスに関連した民間...

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文:神保勇揮

国が取りまとめたデータを民間が活用。都道府県でも同様の動き

3月9日、新型コロナウイルスに関連した民間企業の支援情報まとめサイト「VS COVID-19 #民間支援情報ナビ」が公開された。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う困難や混乱を和らげるべく、民間企業がさまざまなかたちで支援策を打ち出しているが、支援策は日々大量に発表されることもあり、その全容を知ることは難しかった。

こうした状況を受け、政府と民間企業・シビックテック(政府・自治体ではなく一般市民がテクノロジーやデータを活用し、社会課題・行政課題を解決する動き)団体のCode for Japanらが協力して情報の取りまとめができる体制を構築。

具体的には各民間企業が業界団体を通じて支援情報データを入力し、上述の「VS COVID-19」サイトで一斉に公開、さらに入力されたデータやソースコードをオープンソースとして一般公開し、誰でもサービス開発・改善に携わることができるという格好だ。データは経産省HPgithubなどで公開されている。

同サイトでは3月11日14時現在、
・ワークスタイル(テレワーク含む)
・医療、福祉
・宿泊、飲食サービス
・教育、学習支援
・生活関連サービス、娯楽
・その他
の6分野で支援内容をまとめており(加えて「現物提供」「企業への支援」などのタグも既に存在し、今後も増えていくと思われる)、例えばローソンによる「学童保育施設へのおにぎり無償提供」「ホットミルク半額」レノボ・ジャパンによる全社一斉テレワークのノウハウをまとめた「テレワークスタートガイド」の無償公開といった情報が多数掲載されている。サイト内での単語単位での検索も可能だ。

新型コロナウイルス関連の対応策として、こうしたテクノロジー・データを活用した試みが現在世界中で行われている。例えば台湾の“天才”デジタル担当閣僚のオードリー・タン氏が保健当局と協働し、マスクを販売する薬局や在庫データを一般公開、民間が「マスク在庫マップ」を開発したことは日本でも話題になったが、同時に「こんな神対応、動きが遅いうえに政治家のIT理解が無い日本では当分無理だろうなあ…」と皆落胆していたところだった。

そうした中でのサイト公開だったこともあり、SNSでは「これはめちゃくちゃ便利」「うちの国、いきなりどうした?」と称賛の声が相次いでいる。

ちなみに、こうした官民連携の動きはこの件に留まらない。東京都では3月6日に患者数や検査数などの各種データを「新型コロナウイルス感染症対策サイト」を公開し、同様にソースコードも公開。早速これを活用し、有志が開発した北海道版(開発は有志チームの「JUST道IT」)、神奈川県版も公開されている。

東京都「新型コロナウイルス感染症対策サイト」。副都知事でヤフー元社長・会長の宮坂学氏がTwitterで積極的に広報し、エンジニアたちとのコミュニケーションも図っている

新型コロナウイルスをめぐっては、感染拡大や医療現場での負担増もさることながら、これからはイベント自粛、学校の一斉休校の影響などの見えにくいダメージも明らかになってくると思われる。こうした良い事例を積み重ねることによって、危機や混乱が訪れても少しでもカバーできるような体制が構築されることを願ってやまない。