CULTURE | 2019/08/05

白黒写真に色のついた線を引くだけでカラー写真に! 世にも不思議なトリック画像が話題に

文:岩見旦

まずは、こちらの画像を見てもらいたい。パソコンに向かっている学生たちを写したカラー画像に見えるだろう。...

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文:岩見旦

まずは、こちらの画像を見てもらいたい。パソコンに向かっている学生たちを写したカラー画像に見えるだろう。

しかし、実際には白黒写真の上に、色のついた格子状の細いグリッド線を引いているだけだ。

グリット線で白黒写真がカラーに

このトリック画像を制作したのは、GIMPの開発者として知られるØyvind Kolås氏。フリー画像を白黒にし、その上に赤、オレンジ、黄色、青、緑のグリッド線を重ねた。画像を拡大すると明らかだ。

Kolås氏は、この画像を「Color Assimilation Grid Illusion(色同化グリッド錯視)」と名付け、「白黒画像の上に重ね合わせた彩度の高い色の付いたグリッド線は、白黒画像をカラーとして認識させます」と説明している。

Kolås氏はさまざまなパターンでこの画像を作ってみたところ、格子状のグリッド線だけでなく、ドットや直線でも作ることができることが判明。直線の場合は間隔を狭くしなければならず、やはりグリッド線が最も効果的なようだ。

さらにはこのトリック画像の技術は、動画でも再現することが可能だ。

Kolås氏が制作しグリット線のトリック画像はSNS上でも話題になっており、7月27日に投稿されたツイートは現在1万9000件のリツートを記録している。

少ない情報で自動補完する人間の脳

なぜこれらの白黒画像はカラーに見えるのだろうか?

シドニー大学視覚科学者のバート・アンダーソン氏は『Science alert』に「この色を認識する仕組みは『ローパス』と呼ばれるもので、色をコード化する受容野が非常に大きいです。そのため、グリッド線は白黒の背景と平均化され、画像の一部として認識します」と語った。つまり、私達の脳は何か物体を見る時、視覚的な情報を圧縮して、じっくり見ることなく大まかな印象を決めているという。要は、少ない情報で自動補完する人間の脳に備えられた仕組みなのだ。

またこれらの画像は、色の錯視の代表格「ムンカー錯視」に似た現象ではないか、と海外メディアやSNS上で指摘されている。こちらの画像の円はすべて同じ色だが、4種類の異なる色として見えるだろう。

人間の脳を騙すトリック画像。実に不思議で興味深い世界だ。